全世界株式ファンドとは
全世界株式ファンドは、先進国・新興国を含む世界中の株式市場に分散投資するインデックスファンドです。1本買うだけで世界47カ国・数千銘柄に分散投資できるため、「迷ったらこれ1本」と言われるほどシンプルかつ強力な選択肢です。
代表的なベンチマーク指数はMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)とFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの2つ。いずれも世界の株式市場の時価総額の大部分をカバーしますが、構成銘柄数やカバー範囲に違いがあります。
「オルカン」の愛称で知られるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が純資産5兆円超と圧倒的な存在感ですが、楽天やたわらなど信託報酬で競う後発ファンドも急成長中です。
主要ファンド一覧(比較テーブル)
Fund Labで取り扱いのある全世界株式ファンド6本の基本データを比較します。
| ファンド名 | 運用会社 | 設定日 | ベンチマーク | 信託報酬(税込) | 純資産総額 |
|---|---|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 三菱UFJアセットマネジメント | 2018/10/31 | MSCI ACWI | 年0.05775% | 約5.39兆円 |
| eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 三菱UFJアセットマネジメント | 2018/3/19 | MSCI ACWI(除く日本) | 年0.05775% | 約8,945億円 |
| 楽天・プラス・オールカントリー | 楽天投信投資顧問 | 2023/10/27 | MSCI ACWI | 年0.0561% | 約4,384億円 |
| たわらノーロード 全世界株式 | アセットマネジメントOne | 2019/7/22 | MSCI ACWI | 年0.10989% | 約1,911億円 |
| SBI・V・全世界株式 | SBIアセットマネジメント | 2022/1/31 | FTSEグローバル・オールキャップ | 年0.1238% | 約520億円 |
| 野村つみたて外国株投信 | 野村アセットマネジメント | 2017/10/2 | MSCI ACWI(除く日本) | 年0.209% | 約2,240億円 |
ベンチマーク指数の違い:MSCI ACWI vs FTSE
全世界株式ファンドは、追跡するベンチマーク指数が2種類あります。
| 項目 | MSCI ACWI | FTSEグローバル・オールキャップ |
|---|---|---|
| 構成銘柄数 | 約2,700銘柄 | 約9,000銘柄以上 |
| カバー範囲 | 大型株・中型株 | 大型株・中型株・小型株 |
| 対象国数 | 先進国23 + 新興国24 | 先進国25 + 新興国24 |
| 韓国の分類 | 新興国 | 先進国 |
MSCI ACWIは大型・中型株のみを対象とし、FTSEグローバル・オールキャップは小型株も含むためより広い分散効果があります。ただし、長期的なリターンの傾向は類似しており、どちらの指数を選んでも大きな差が出にくいのが実情です。
なお、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)と野村つみたて外国株投信はいずれもMSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとしており、日本株を含みません。上の比較テーブルのベンチマーク列もあわせてご確認ください。
信託報酬と運用構造の違い
信託報酬の低さでは楽天・プラス(年0.0561%)が最安で、eMAXIS Slim(年0.05775%)と僅差の競争が続いています。
直接投資 vs FoF(ファンド・オブ・ファンズ)
SBI・V・全世界株式は、バンガード社の「VT(トータル・ワールド・ストックETF)」を通じて全世界株式に投資するFoF構造です。ファンド自体の信託報酬は年0.0638%と低いですが、投資先ETFの経費率(約0.06%)が加算され、実質的な負担は年0.1238%程度になります。
一方、eMAXIS Slim、楽天・プラス、たわらなどはマザーファンドを通じて現物株式に直接投資しています。
信託報酬だけでは比較できない
実際の運用コストには「隠れコスト」(売買委託手数料、保管費用、監査費用等)も含まれます。これらは運用報告書の「1万口当たりの費用明細」で確認できます。特に新興国の売買コストは先進国より高いため、全世界株式ファンドではS&P500連動ファンドよりも隠れコストが大きくなる傾向があります。
Fund Labのバックテストツールで、これら6ファンドを同時に選択して過去のリターン・リスク・シャープレシオを比較できます。特に楽天・プラスやSBI・Vなど設定が新しいファンドは、共通期間での比較が公平です。
「オール・カントリー」と「除く日本」の違い
eMAXIS Slimでは「オール・カントリー」と「除く日本」の2バリエーションが提供されています。
- オール・カントリー:日本を含む全世界の株式に投資。1本で完結する
- 除く日本:日本以外の先進国・新興国に投資。日本株を別途持ちたい方向け
MSCI ACWIにおける日本株の比率は約5〜6%です。そのため、「オール・カントリー」と「除く日本」のリターン差は限定的です。ただし、すでに個別の日本株やTOPIX連動ファンドを保有している方は、「除く日本」を選ぶことで日本株の過剰ウェイトを避けられます。
eMAXIS Slim「除く日本」と野村つみたて外国株投信はいずれもMSCI ACWI(除く日本)に連動しており、同じカテゴリのファンドです。
純資産総額で見る各ファンドの規模
純資産総額はファンドの安定性と人気度を示す指標です。
- eMAXIS Slim オルカン:約5.39兆円 — 国内投資信託で最大級。圧倒的な存在感
- eMAXIS Slim 除く日本:約8,945億円 — 除く日本カテゴリでは最大規模
- 楽天・プラス・オルカン:約4,384億円 — 2023年10月設定ながら急成長
- 野村つみたて外国株投信:約2,240億円 — 2017年設定の実績ある老舗
- たわらノーロード 全世界:約1,911億円 — 2025年に急成長中
- SBI・V・全世界:約520億円 — FTSEベンチマーク派の受け皿
純資産総額が大きいファンドは繰上償還リスクが低く、運用効率が高い傾向があります。楽天・プラスは設定から約1年で4,000億円を超えるなど、信託報酬の安さを武器に急速に資金を集めています。
結局どれを選べばいい?
全世界株式ファンドは「世界経済全体の成長に乗る」というシンプルな投資方針が共通しています。選ぶポイントは主に3つです。
コストで選ぶなら
信託報酬が最も低いのは楽天・プラス(年0.0561%)で、eMAXIS Slim(年0.05775%)とほぼ横並びです。ただし、実質コスト(隠れコスト含む)ではeMAXIS Slimが優位な場合もあるため、運用報告書の費用明細も比較するとより確実です。
安定感・実績で選ぶなら
eMAXIS Slim オルカンは純資産5.39兆円と圧倒的で、繰上償還リスクはほぼゼロ。運用実績も長く、信託報酬は年0.05775%と業界最安水準です。
ベンチマーク指数で選ぶなら
小型株も含めた幅広い分散を求めるなら、FTSEグローバル・オールキャップ連動のSBI・V・全世界が唯一の選択肢です。MSCI ACWIでは約2,700銘柄、FTSEでは約9,000銘柄以上と、カバー範囲に大きな差があります。
Fund Labで自分で比較してみよう
各ファンドの過去パフォーマンスを実際に比較したい方は、Fund Labのツールをお試しください。
- バックテストページにアクセス
- 比較したい全世界株式ファンドを複数選択
- 投資条件(初期投資額・毎月積立額・期間)を設定
- 「計算」をクリックして結果を確認
リターン、リスク(標準偏差)、シャープレシオ、最大ドローダウンをグラフと数値で比較できます。
また、ポートフォリオ最適化ツールでは、全世界株式とS&P500や先進国株式を組み合わせた最適な配分比率も自動計算できます。モンテカルロシミュレーションで将来の資産推移を確率的に予測することも可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. オルカンとは何ですか?
「オルカン」とは「オール・カントリー」の略称で、全世界の株式市場に分散投資するインデックスファンドの総称です。代表的な指数はMSCI ACWI(All Country World Index)で、先進国23カ国・新興国24カ国の約2,700銘柄で構成されています。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が特に有名で、「オルカン」の愛称で知られています。
Q. MSCI ACWIとFTSEグローバル・オールキャップの違いは?
MSCI ACWIは大型・中型株約2,700銘柄で構成されます。FTSEグローバル・オールキャップは大型・中型株に加えて小型株も含む約9,000銘柄以上で構成され、より幅広い分散が可能です。ただし、長期的なリターンの傾向は類似しています。
Q. 「除く日本」と「オール・カントリー」はどちらを選ぶべき?
「オール・カントリー」は日本を含む全世界に投資するため、1本で完結する分散投資が可能です。「除く日本」は日本株を別途保有している方や、日本株の配分を自分でコントロールしたい方に向いています。日本株の比率はMSCI ACWIで約5〜6%のため、大きな差にはなりにくいですが、ご自身のポートフォリオ全体で判断しましょう。
Q. 全世界株式ファンドはNISAで購入できますか?
はい、本記事で紹介している6ファンドはすべて新NISAのつみたて投資枠で購入可能です。全世界株式ファンドは長期の積立投資に適しており、NISAの非課税メリットを活かしやすい商品カテゴリです。
本記事のデータについて
- SBI・V・全世界株式の信託報酬(年0.1238%)は、ファンド報酬 年0.0638%+投資先ETF(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)経費 約0.06%の合計です。
- eMAXIS Slim 全世界株式の信託報酬は年0.05775%です。
- 純資産総額は各ファンドの期末時点の値であり、最新の値とは異なります。
- 本記事は特定のファンドの購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。過去のデータは将来のリターンを保証するものではありません。