モンテカルロで比較する意味
バックテストは「ある特定の期間に投資していたらどうなったか」という1通りの結果を示します。一方、モンテカルロシミュレーションは過去の月次リターンの分布(平均・ばらつき)をもとに、好調な年・不調な年がランダムに組み合わさった1,000通りの将来シナリオを生成します。
オルカンと先進国株式(除く日本)はどちらも全世界の先進国に分散投資するファンドですが、日本・新興国の有無によってボラティリティとリターンが微妙に異なります。モンテカルロでは「シナリオ全体の広がり」——楽観時の上振れ幅・悲観時の下振れ幅——の違いとして捉えられます。
対象ファンド①: eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
対象ファンド②: eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本)
初期投資額: 0円 / 毎月の積立額: 3万円 / 運用期間: 10年
シミュレーション回数: 1,000回(ヒストリカルシミュレーション)
ベースデータ: 各ファンドの過去約5年6ヶ月分の月次基準価額データ
※本シミュレーションは過去データに基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の結果
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に月3万円を10年積み立てた場合のシミュレーションです。オルカンはMSCI ACWI指数に連動し、先進国・新興国を含む約2,800銘柄に分散投資します。
10年後の資産額(シミュレーション結果)
中央値シナリオでは、360万円の積立が10年で1,273万円になる試算です。悲観シナリオ(下位25%)でも1,044万円と、元本360万円を大きく上回っています。最終元本割れ確率は0%(最悪ケース・下位5%でも795万円)です。
期中元本割れ確率は70.3%と高く見えますが、これは積立期間の途中で一時的にマイナスになったシナリオの割合であり、最終時点での元本割れとは別の指標です。ボラティリティは年率13.89%で、全世界への幅広い分散がリスク抑制に働いています。
先進国株式(除く日本)の結果
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本)に同じ条件(月3万円・10年)で積み立てた場合です。MSCIコクサイ・インデックスに連動し、日本を除く先進国22カ国の約1,200銘柄に投資します。米国比率は約73%とオルカンより高く、日本・新興国は含まれません。
10年後の資産額(シミュレーション結果)
先進国株式(除く日本)の中央値は1,383万円で、オルカンの1,273万円を約110万円上回りました。楽観シナリオ(上位25%)では1,683万円と、オルカンの1,563万円より120万円多い結果です。
一方でボラティリティは年率14.81%とオルカンより約0.9%高く、期中元本割れ確率も73.1%とオルカン(70.3%)より高くなっています。米国ハイテク株の集中度が高いため、好況期に大きく上昇する分、調整局面でも下落しやすい構造が反映されています。
オルカン vs 先進国(除く日本):シミュレーション比較
同じ積立条件(月3万円・10年)でのシミュレーション結果を並べて確認します。
| シナリオ | オルカン | 先進国(除く日本) | 差(先進国−オルカン) |
|---|---|---|---|
| 最良ケース(上位5%) | 2,183万円 | 2,337万円 | +154万円 |
| 楽観シナリオ(上位25%) | 1,563万円 | 1,683万円 | +120万円 |
| 中央値(50%) | 1,273万円 | 1,383万円 | +110万円 |
| 悲観シナリオ(下位25%) | 1,044万円 | 1,112万円 | +68万円 |
| 最悪ケース(下位5%) | 795万円 | 787万円 | −8万円(逆転) |
| 期中元本割れ確率 | 70.3% | 73.1% | — |
| 最終元本割れ確率 | 0% | 0% | — |
| 年率ボラティリティ | 13.89% | 14.81% | — |
楽観〜悲観の通常シナリオでは先進国が一貫して上回りますが、差は最大でも154万円(最良ケース)と、オルカン vs S&P500の差(同条件で最良ケース約154万円、中央値で約192万円)より小さくなっています。2つのファンドは非常に似た性質を持っていることが分かります。
注目ポイント:最悪ケースではオルカンが逆転する
オルカン 795万円 > 先進国(除く日本) 787万円
最悪ケース(下位5%)のシナリオだけ、オルカンが先進国を約8万円上回っています。これはバックテストでも見られたパターンで、分散効果の違いが「極端な下振れ局面」に現れたと解釈できます。
オルカン(MSCI ACWI連動):先進国・新興国・日本を含む約2,800銘柄に分散。米国比率は約65%。
先進国株式(MSCIコクサイ連動):日本を除く先進国22カ国の約1,200銘柄。米国比率が約73%と高め。
米国株や先進国株が大きく下落するような極端なシナリオでは、先進国(除く日本)の方が下振れが大きくなる傾向があります。オルカンは新興国・日本も含むため、先進国一極への集中が分散されており、最悪局面での下値を若干抑える構造になっています。
ただし差は8万円と非常に小さく、過度に注目すべき差ではありません。中央値〜楽観シナリオでは先進国が一貫して上回ることを合わせて考える必要があります。
まとめ:オルカンと先進国(除く日本)、10年後はどう違う?
| 観点 | オルカン | 先進国(除く日本) |
|---|---|---|
| 中央値(10年後) | 1,273万円 | 1,383万円 |
| 中央値の差 | 先進国が約110万円上回る | |
| 最悪ケース(下位5%) | 795万円(わずかに高い) | 787万円 |
| 年率ボラティリティ | 13.89%(低い) | 14.81% |
| 最終元本割れ確率 | 0% | 0% |
| 投資対象の特徴 | 全世界47カ国・新興国含む | 先進国22カ国・米国集中 |
過去データに基づくシミュレーションでは、先進国株式(除く日本)が中央値でオルカンを約110万円上回る一方、最悪ケース(下位5%)だけオルカンが逆転するという結果です。差の大きさはオルカン vs S&P500(中央値で約192万円)より小さく、この2ファンドは非常に近い性質を持っています。
日本株を別途保有していて重複を避けたい方には先進国株式という選択肢があります。新興国の長期成長も取り込みたい方、シンプルに全世界に丸ごと分散したい方にはオルカンが向いています。バックテスト(過去の実績)と合わせて参考にすることで、両ファンドの性質をより多角的に把握できます。
本記事のシミュレーションは各ファンドの過去約5年6ヶ月分の月次リターンの分布をもとに生成した試算です。この期間にはコロナ後の急回復や2023〜2024年のAI・半導体ブームによる強い上昇相場が含まれており、平均年率リターンはオルカン22.41%・先進国23.5%と長期の歴史的平均より高めに出ています。将来の市場環境は過去とは異なる可能性があり、表示された金額が実現することを保証するものではありません。投資は自己責任でご判断ください。
自分の条件でシミュレーションしてみる
積立額・初期投資額・運用年数を自由に変えて試せます。オルカン・先進国以外のファンドでも確認できます。
よくある質問
Q. オルカンと先進国(除く日本)のモンテカルロシミュレーション、結果はどう違いますか?
過去データに基づくシミュレーション(月3万円・10年)では、先進国株式(除く日本)の中央値が1,383万円でオルカンの1,273万円を約110万円上回りました。ただし最悪ケース(下位5%)だけはオルカン795万円が先進国787万円を上回ります。両ファンドとも最終元本割れ確率は0%です。
Q. 最悪ケース(下位5%)ではオルカンの方が高いのはなぜですか?
オルカンは先進国・新興国・日本を含む約2,800銘柄に分散しているため、先進国株式が大きく下落するような極端なシナリオで下値を抑えやすい構造です。先進国株式(除く日本)は米国比率が約73%と高く、米国株や先進国株が極端に下落するシナリオでは下振れが大きくなる傾向があります。ただし差は8万円と小さく、通常シナリオでは先進国が一貫して上回ります。
Q. 期中元本割れ確率が70%台と高いのはなぜですか?
期中元本割れ確率は積立期間の途中で一時的に資産額が元本を下回ったシナリオの割合です。積立初期は投資済み元本が少なく、少しの下落でも一時的にマイナスになりやすいため、10年積立でも60〜80%台になることがあります。最終時点での元本割れ確率(両ファンドとも0%)とは別の指標です。
Q. モンテカルロシミュレーションとバックテストはどう違いますか?
バックテストは過去の特定期間に投資した場合の1通りの結果を示します。モンテカルロシミュレーションは過去の月次リターンの分布(平均・ばらつき)をもとに1,000通りの将来シナリオをランダムに生成し、楽観・中央値・悲観のシナリオ幅を確率的に示します。「過去の再現」ではなく「将来の不確実性の幅」を確認したい場合にモンテカルロが有効です。
※ 本記事のシミュレーション結果は過去の基準価額データに基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。信託報酬等のスペックは各社の最新目論見書でご確認ください。