モンテカルロで比較する意味
バックテストは「ある特定の期間に投資していたらどうなったか」という1通りの結果を示します。一方、モンテカルロシミュレーションは過去の月次リターンの分布(平均・ばらつき)をもとに、好調な年・不調な年がランダムに組み合わさった1,000通りの将来シナリオを生成します。
オルカンとS&P500はリターンとボラティリティが異なります。バックテストでは「過去のどの期間を選ぶか」で優劣が変わりますが、モンテカルロではシナリオ全体の広がり——楽観時の上振れ幅・悲観時の下振れ幅——の違いとして捉えられます。
対象ファンド①: eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
対象ファンド②: eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
初期投資額: 0円 / 毎月の積立額: 3万円 / 運用期間: 10年
シミュレーション回数: 1,000回(ヒストリカルシミュレーション)
ベースデータ: 各ファンドの設定来月次基準価額データ(過去実績・約5年6ヶ月)
※本シミュレーションは過去データに基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の結果
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に月3万円を10年積み立てた場合のシミュレーションです。オルカンはMSCI ACWI指数に連動し、先進国・新興国を含む約2,800銘柄に分散投資します。
10年後の資産額(シミュレーション結果)
中央値シナリオでは、360万円の積立が10年で1,276万円になる試算です。悲観シナリオ(下位25%)でも1,010万円と、元本360万円を大きく上回っています。最終元本割れ確率は0%(最悪ケースである下位5%でも750万円)です。
期中元本割れ確率は69.1%と見えますが、これは積立期間の途中で一時的にマイナスになったシナリオの割合であり、最終時点での元本割れとは別の指標です。ボラティリティは年率13.89%で、全世界分散の効果がリスク抑制に働いています。
S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)の結果
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に同じ条件(月3万円・10年)で積み立てた場合です。S&P500は米国上場株式500銘柄に集中投資する指数で、NVIDIA・Apple・Microsoft等の大型ハイテク株の影響を強く受けます。
10年後の資産額(シミュレーション結果)
S&P500は中央値1,468万円で、オルカンの1,276万円を約192万円上回りました。楽観シナリオ(上位25%)では1,899万円と、オルカンの1,558万円より341万円多い結果です。
一方でボラティリティは年率15.81%とオルカンより約2%高く、期中元本割れ確率も73%とオルカン(69.1%)より高くなっています。シナリオの広がりが大きい分、最良ケース(上位5%)の2,777万円はオルカンの2,105万円を大幅に上回りますが、最悪ケース(下位5%)の827万円はオルカンの750万円よりは高い水準です。
オルカン vs S&P500:シミュレーション比較
同じ積立条件(月3万円・10年)でのシミュレーション結果を並べて確認します。
| シナリオ | オルカン | S&P500 | 差(S&P500−オルカン) |
|---|---|---|---|
| 最良ケース(上位5%) | 2,105万円 | 2,777万円 | +672万円 |
| 楽観シナリオ(上位25%) | 1,558万円 | 1,899万円 | +341万円 |
| 中央値(50%) | 1,276万円 | 1,468万円 | +192万円 |
| 悲観シナリオ(下位25%) | 1,010万円 | 1,157万円 | +147万円 |
| 最悪ケース(下位5%) | 750万円 | 827万円 | +77万円 |
| 期中元本割れ確率 | 69.1% | 73.0% | — |
| 最終元本割れ確率 | 0% | 0% | — |
| 年率ボラティリティ | 13.89% | 15.81% | — |
全シナリオでS&P500がオルカンを上回っていますが、差の大きさはシナリオによって異なります。最良ケース(上位5%)では差が672万円まで広がる一方、最悪ケース(下位5%)では差が77万円に縮まります。S&P500は「当たれば大きく、外れても一定の差」という傾向が見てとれます。
リスク指標の数値比較:ボラティリティと最大ドローダウン
中央値などのリターン数値ではS&P500が高い一方、リスク指標の数値では、この期間の実績データでオルカンが低い結果となりました。
ボラティリティはオルカン13.89%に対してS&P500は15.81%と約2ポイントの差、積立期間中の最大ドローダウン(最大含み損)はオルカン8.41%に対してS&P500は12.44%と約4ポイントの差が見られました。この差は期中元本割れ確率の違い(73% vs 69.1%)にも表れており、積立初期に市場が下落した場合、S&P500の方が一時的に大きく下がりやすい結果でした。
オルカンは米国比率が約65%を占めながら、残り約35%を欧州・日本・新興国に分散しているため、米国株が大きく下落する局面でドローダウンを抑える要因となったとみられます。S&P500は米国ハイテク大型株の比率が高く、好況期には大きく上昇する反面、調整局面では下落幅が大きくなりやすい構造です。
本記事のシミュレーションは各ファンドの設定来約5年6ヶ月の月次リターンの分布をもとに生成した試算です。この期間にはコロナ後の急回復や2023〜2024年のAI・半導体ブームによる強い上昇相場が含まれており、平均年率リターンはオルカン22.41%・S&P500 24.64%と長期の歴史的平均より高めに出ています。将来の市場環境は過去とは異なる可能性があり、表示された金額が実現することを保証するものではありません。投資は自己責任でご判断ください。
まとめ:オルカンとS&P500、10年後はどう違う?
| 観点 | オルカン | S&P500 |
|---|---|---|
| 中央値(10年後) | 1,276万円 | 1,468万円 |
| シナリオの振れ幅 | 小さい(750〜2,105万円) | 大きい(827〜2,777万円) |
| 年率ボラティリティ | 13.89% | 15.81% |
| 最終元本割れ確率 | 0% | 0% |
| 投資対象 | 全世界約2,800銘柄 | 米国500銘柄 |
過去データに基づくシミュレーションでは、S&P500は中央値でオルカンを約192万円上回る一方、価格変動の振れ幅も大きいという結果です。どちらも10年後の最終元本割れ確率は0%ですが、途中の値動きに一喜一憂しやすい方にはオルカン、より高いリターンを追い求める方にはS&P500が選択肢になるでしょう。
バックテストでの実績(過去の特定期間)と合わせて参考にすることで、両ファンドの性質をより多角的に把握できます。
自分の条件でシミュレーションしてみる
積立額・初期投資額・運用年数を自由に変えて試せます。オルカン・S&P500以外のファンドでも確認できます。
よくある質問
Q. オルカンとS&P500、モンテカルロシミュレーションの結果はどう違いますか?
過去データに基づくシミュレーション(月3万円・10年)では、S&P500の中央値が1,468万円でオルカンの1,276万円を約192万円上回りました。一方でボラティリティはS&P500(15.81%)がオルカン(13.89%)より高く、シナリオの振れ幅も大きくなっています。どちらも最終元本割れ確率は0%です。
Q. モンテカルロシミュレーションとバックテストはどう違いますか?
バックテストは過去の特定期間に投資した場合の1通りの結果を示します。モンテカルロシミュレーションは過去の月次リターンの分布(平均・ばらつき)をもとに1,000通りの将来シナリオをランダムに生成し、楽観・中央値・悲観のシナリオ幅を確率的に示します。「過去の再現」ではなく「将来の不確実性の幅」を確認したい場合にモンテカルロが有効です。
Q. 期中元本割れ確率が70%前後と高いのはなぜですか?
期中元本割れ確率は積立期間の途中で一時的に資産額が元本を下回ったシナリオの割合です。積立初期は投資済み元本が少なく、少しの下落でも一時的にマイナスになりやすいため、10年積立でも60〜80%台になることがあります。最終時点での元本割れ確率(両ファンドとも0%)とは別の指標です。
Q. NISAの積立はオルカンとS&P500どちらが向いていますか?
過去データに基づくシミュレーションではS&P500の期待リターンが高い一方、価格変動(ボラティリティ)も大きくなる傾向があります。オルカンは全世界への分散によりボラティリティが低く、シナリオのばらつきが小さい特徴があります。リターンの高さを重視するかリスクの安定性を重視するかは投資家自身の判断によります。過去データは将来の成果を保証するものではありません。
※ 本記事のシミュレーション結果は過去の基準価額データに基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。信託報酬等のスペックは各社の最新目論見書でご確認ください。