相関係数とは?
「分散が効いているか」を数字で測る

「ファンドを2本持っているから分散できている」——本当にそうでしょうか。もしその2本がいつも同じ方向に動くなら、リスクの面では1本持ちと大差ありません。この「動きの重なり具合」を−1〜+1の数字で測るのが相関係数です。この記事では、相関係数で何がわかるのか、どんなことに使えるのか、そして急落時には相関が上がりやすいという大事な限界まで、専門用語を使わずに解説します。

まず結論:相関係数は「分散が効いているか」を測る物差し

この記事の要点を先にまとめます。

  • 相関係数とは、2つの資産がどれだけ同じ方向に動くかを−1〜+1の数字で表したもの。+1なら完全に同じ動き、0なら無関係、−1なら完全に逆の動き。
  • 分散投資の効果は「何本持っているか」ではなく、値動きの違うものを持っているかで決まる。それを確かめる唯一の物差しが相関係数。
  • ただし相関は時期によって変わる。特に市場の急落時には普段低相関の資産も一緒に下がることがあり、過去の相関が将来を保証するわけではない。

相関係数とは?「傘屋とアイス屋」で考える

昔からある例え話で考えてみます。傘屋とアイス屋の2つの店があるとします。雨の日は傘屋が儲かってアイス屋は暇、晴れの日はその逆。2つの店の売上は逆方向に動く——これが「負の相関」です。両方の店を持っていれば、天気がどちらに転んでも、どちらかの売上が支えてくれます。

一方、アイス屋とかき氷屋を両方持っていたらどうでしょう。どちらも晴れれば儲かり、雨なら暇。2軒持っていても、売上の浮き沈みは1軒のときとほとんど同じです。これが「正の相関が高い」状態で、店を増やした意味(分散効果)はほぼありません。

投資信託もまったく同じです。2本持っていても、その2本が同じ方向に動くなら、リスクの面では1本持ちと大差ない。相関係数は、この「動きの重なり具合」を−1〜+1の1つの数字に要約してくれます。

相関係数は統計学の標準的な指標で、投資の世界では通常、月次リターン(毎月の騰落率)どうしの連動度として計算されます。

数字の目安:どのくらいなら「違う動き」なのか

相関係数ざっくり言うと分散効果の期待度
+0.8 〜 +1.0ほぼ同じ動きほとんど期待できない
+0.3 〜 +0.8ある程度連動限定的
−0.3 〜 +0.3ほぼ無関係期待しやすい
−1.0 〜 −0.3逆方向に動く大きい(ただし稀)

実際の市場では、株式どうしの相関はかなり高くなる傾向があります。たとえば「全世界株式」と「米国株式」は投資先の名前こそ違いますが、過去のデータでは非常に高い相関を示す傾向があり、2本持ってもリスク面の分散はあまり働きません。一方、株式とゴールドや国内債券のように資産の種類(アセットクラス)をまたぐと、相関は下がりやすくなります。主要資産の実測値は相関マトリクスのデータ記事で確認できます。

どんなことに使えるのか:代表的な3つの使い方

① 「2本目」を選ぶときの点検

いま持っているファンドに1本追加するなら、その2本の相関を見てください。+0.9台なら、それは分散ではなく「同じものを2つの名前で持つ」だけかもしれません。追加する意味があるのは、動きの違うものを足すときです。

② 「守りの資産」が仕事をするかの確認

債券やゴールドを混ぜる目的は、株式が沈んだときの支えです。その期待が成り立つかどうかは、株式との相関が低い(または負である)ことにかかっています。守り役に据える前に、相関で適性検査をしておきましょう。

③ ポートフォリオ全体の「色の多様性」チェック

保有している全ファンドの相関を総当たりで見ると、自分のポートフォリオが実は同じ動きの集まりになっていないかが一目でわかります。この総当たり表が相関マトリクスで、当サイトのツールならヒートマップ(色分け表)として無料で確認できます。

どんな人が使っているのか

相関係数は、機関投資家がポートフォリオを設計するときの基本指標です。資産配分の理論(現代ポートフォリオ理論)では、資産どうしの相関が低いほど、同じリターンをより小さいリスクで実現できることが数学的に示されており、分散投資が「タダで手に入る唯一のランチ」と呼ばれる根拠になっています。

個人では、特に次のような場面で役に立ちます。

  • 複数のファンドを持っている人:その組み合わせで本当に分散になっているか点検したい
  • 追加購入を検討している人:いまの保有と動きの違うものを選びたい
  • 下落への備えを考えている人:株式と逆に(または無関係に)動く資産を探したい

知っておくべき3つの限界

① 相関は時期によって変わる

相関係数は固定された性質ではなく、計算する期間によって変わります。特に注意したいのは、市場全体が急落する局面では、普段は低相関の資産どうしも一緒に下がりやすくなる(相関が上がる)ことです。「いざという時ほど分散が効きにくくなることがある」——この性質は覚えておく価値があります。

② 相関が低い=良い投資、ではない

相関はあくまで「動きの重なり」の話で、リターンの高さとは別問題です。相関の低さだけを目的に、長期のリターンが期待しにくい資産を集めては本末転倒です。リターンの検証はバックテスト、重なりの検証は相関と、物差しを使い分けてください。

③ 計算の前提に依存する

同じ2資産でも、円建てかドル建てか、月次か日次か、どの期間かで数値は変わります。たとえば円建てで見ると、外国株式と外国債券は為替という共通要因を含むため、相関が高めに出る傾向があります。数字は前提とセットで読んでください。

ここから確かめられます:日本の投資信託で相関チェック

考え方がわかったら、自分の組み合わせで確かめてみるのがいちばんです。当サイト(Fund Lab)の相関マトリクスは、日本の投資信託を実際のファンド名で2〜8本選ぶだけで、相関係数のヒートマップを表示します。アセットクラス(資産の種類)単位でも試せます。登録不要・無料です。

画面の操作手順は使い方ガイドで詳しく解説しています。

その組み合わせ、本当に「分散」ですか?

持っているファンドを入れて、マトリクスの色を見てみてください。青一色なら、それは1本持ちと大差ないサインかもしれません。

本記事の位置づけ

本記事は相関係数という指標の一般的な解説であり、特定の金融商品の購入・売却や特定の組み合わせを推奨するものではありません。相関係数は過去の実績データに基づく計算値であり、将来の値動きの関係を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

よくある質問

Q. 相関係数とは何ですか?
2つの資産の値動きがどれだけ連動しているかを−1〜+1の数値で表した統計指標です。+1は完全に同じ動き、0は無関係、−1は完全に逆の動きを意味します。投資では通常、月次リターンどうしの連動度として計算され、分散投資が効いているかを測る物差しとして使われます。
Q. 相関係数がいくつなら分散効果がありますか?
目安として、+0.8以上はほぼ同じ動きで分散効果はほとんど期待できず、−0.3〜+0.3程度なら値動きの重なりが小さく分散効果を期待しやすいと読めます。ただし相関は計算期間によって変わり、市場の急落時には上がりやすいため、将来の分散効果を保証する数字ではありません。
Q. 全世界株式と米国株式を両方持つのは分散になりますか?
投資先の名前は違いますが、どちらも株式というアセットクラスに属し、過去のデータでは非常に高い相関を示す傾向があります。リスク面の分散を狙うなら、債券やゴールドなど資産の種類をまたいだ組み合わせのほうが相関は下がりやすくなります。実際の数値は当サイトの相関マトリクスで無料確認できます。
Q. 投資信託の相関係数は無料で調べられますか?
当サイト(Fund Lab)の相関マトリクスは、日本の投資信託を実際のファンド名で2〜8本選ぶだけで、相関係数のヒートマップを登録不要・無料で表示します。アセットクラス単位の比較にも対応しています。特定ファンドへの投資を推奨するものではありません。
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