計算の前提(データの範囲と期間)
計算方法: 各ファンドの月次リターン(円建て・基準価額ベース)のピアソン相関係数。全ファンドのデータが揃う共通期間で計算
対象期間: 資産クラス横断マトリクス = 2020年5月〜2025年10月(66ヶ月)/株式指数マトリクス = 2020年8月〜2025年9月(62ヶ月)
使用ファンド: 各資産クラス・指数に連動する低コストインデックスファンド等を1本ずつ例示として使用(eMAXIS Slimシリーズ・iFreeNEXT・SMTゴールドインデックス)。特定ファンドの推奨ではありません
※本記事は2026年6月時点のスナップショット(固定値)です。最新の数値は相関マトリクスツールでいつでも計算できます。
相関係数は-1から+1の値を取り、+1に近いほど「同じ方向に動く」、0に近いほど「無関係に動く」、マイナスなら「逆方向に動く」ことを意味します。分散投資の観点では、相関が低い資産を組み合わせるほどポートフォリオ全体の値動きが滑らかになります。
主要8資産クラスの相関係数マトリクス
全世界株式(オルカン)・S&P500・日経平均・新興国株式・ゴールド・先進国債券・国内債券・先進国REITの8資産について、月次円建てリターンの相関係数を実測した結果がこちらです(2020年5月〜2025年10月・66ヶ月)。
| オルカン | S&P500 | 日経平均 | 新興国株式 | ゴールド | 先進国債券 | 国内債券 | 先進国REIT | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オルカン | 1.00 | 0.98 | 0.74 | 0.67 | 0.21 | 0.71 | 0.23 | 0.79 |
| S&P500 | 0.98 | 1.00 | 0.67 | 0.55 | 0.18 | 0.73 | 0.25 | 0.77 |
| 日経平均 | 0.74 | 0.67 | 1.00 | 0.57 | 0.11 | 0.52 | 0.31 | 0.50 |
| 新興国株式 | 0.67 | 0.55 | 0.57 | 1.00 | 0.26 | 0.49 | 0.03 | 0.44 |
| ゴールド | 0.21 | 0.18 | 0.11 | 0.26 | 1.00 | 0.45 | -0.10 | 0.04 |
| 先進国債券 | 0.71 | 0.73 | 0.52 | 0.49 | 0.45 | 1.00 | 0.26 | 0.50 |
| 国内債券 | 0.23 | 0.25 | 0.31 | 0.03 | -0.10 | 0.26 | 1.00 | 0.29 |
| 先進国REIT | 0.79 | 0.77 | 0.50 | 0.44 | 0.04 | 0.50 | 0.29 | 1.00 |
このマトリクスから読み取れる3つのポイント
① 全体の中で際立って低いのは「ゴールド」と「国内債券」。ゴールドは株式との相関が0.11〜0.26、国内債券は0.03〜0.31と、どの株式とも独立に近い動きをしています。さらにゴールド×国内債券は-0.10と、このマトリクスで唯一のマイナス相関でした。
② オルカンとS&P500は0.98で「ほぼ同じ値動き」。オルカンは約6割が米国株のため、当然の結果ともいえます。投資先の名目を分けても、値動きの分散にはなっていません。
③ 先進国REIT(0.79)や円建て先進国債券(0.71)は、オルカンとの相関が意外に高い。「株式と債券・REITを組み合わせれば分散」というイメージより、実測値はかなり高めです。この理由は次のセクションで解説します。
オルカンと相関が低い資産はどれ?
実測データでは、オルカンとの相関係数が低い順に並べると次のようになります(2020年5月〜2025年10月・66ヶ月)。
| 資産(例示ファンド) | オルカンとの相関係数 | 読み方 |
|---|---|---|
| ゴールド(為替ヘッジなし) | 0.21 | ほぼ独立した値動き |
| 国内債券 | 0.23 | ほぼ独立した値動き |
| 新興国株式 | 0.67 | 株式同士としてはやや低め |
| 先進国債券(為替ヘッジなし) | 0.71 | 債券だが為替の影響で高め |
| 日経平均 | 0.74 | 同方向に動きやすい |
| 先進国REIT | 0.79 | 同方向に動きやすい |
| S&P500 | 0.98 | ほぼ同じ値動き |
オルカンを軸にしたとき、値動きの面で「別の動きをする資産」と呼べるのは、この実測期間ではゴールドと国内債券の2つでした。組み合わせの効果を実際の過去データで確かめたい場合は、バックテストで配分を変えて検証できます。
なぜ円建てだと外国債券の相関が高く出るのか
「株式と債券は逆相関」と聞いたことがある方は、先進国債券×オルカンの0.71という数字に違和感を持つかもしれません。これは円建て(為替ヘッジなし)で見ているためです。
円建てのリターンには「現地通貨ベースの値動き」に加えて「為替変動」が乗ります。円安になれば外国株式も外国債券も円建てでは同時に上昇しやすく、円高なら同時に下落しやすい——つまり為替という共通要因が相関を押し上げるのです。日本の投資家が実際に体験する値動きは円建てなので、この「為替込みの相関」こそが実感に近い数字といえます。
為替ヘッジあり型のファンドを選べば為替要因が除かれるため、相関の数値は変わりえます。同じ指数でもヘッジの有無で分散効果が異なる点は、ファンド選びの際の見落としやすいポイントです。
株式インデックス同士の相関係数マトリクス
「オルカンとNASDAQ100を両方持てば分散になる?」という疑問に答えるため、人気の株式8指数同士でも相関を実測しました(2020年8月〜2025年9月・62ヶ月)。
| オルカン | S&P500 | NASDAQ100 | FANG+ | 先進国株式 | 新興国株式 | 日経平均 | TOPIX | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オルカン | 1.00 | 0.98 | 0.71 | 0.72 | 0.99 | 0.68 | 0.77 | 0.76 |
| S&P500 | 0.98 | 1.00 | 0.74 | 0.73 | 0.99 | 0.56 | 0.70 | 0.70 |
| NASDAQ100 | 0.71 | 0.74 | 1.00 | 0.78 | 0.71 | 0.45 | 0.53 | 0.56 |
| FANG+ | 0.72 | 0.73 | 0.78 | 1.00 | 0.70 | 0.60 | 0.57 | 0.49 |
| 先進国株式 | 0.99 | 0.99 | 0.71 | 0.70 | 1.00 | 0.61 | 0.74 | 0.74 |
| 新興国株式 | 0.68 | 0.56 | 0.45 | 0.60 | 0.61 | 1.00 | 0.59 | 0.53 |
| 日経平均 | 0.77 | 0.70 | 0.53 | 0.57 | 0.74 | 0.59 | 1.00 | 0.92 |
| TOPIX | 0.76 | 0.70 | 0.56 | 0.49 | 0.74 | 0.53 | 0.92 | 1.00 |
一目瞭然なのは、株式同士はすべて0.45〜0.99の正の相関だということです。最も低い組み合わせ(NASDAQ100×新興国株式の0.45)でも、ゴールドや国内債券と株式の相関(0.0〜0.3前後)よりはるかに高い水準です。
個別に見ると、オルカン×先進国株式は0.99、オルカン×S&P500は0.98で実質的に同じ値動き。日経平均×TOPIXも0.92で、日本株インデックスを2本持つ意味は値動きの面ではほぼありません。つまり株式インデックスを複数持つのは「銘柄の分散」ではあっても「値動きの分散」にはなりにくい——これがデータの示す実態です。値動きの分散を求めるなら、資産クラスをまたぐ必要があります。
相関係数を使うときの3つの注意
① 相関は計算期間によって変動する
本記事の数値は2020年〜2025年の特定期間の実測値です。期間を変えれば数値は変わり、特に市場急変時には「普段は低相関の資産が一斉に下落する(相関の上昇)」ことも知られています。固定の真理ではなく「この期間はこうだった」というデータとして扱ってください。
② 相関が低い=リスクが低い、ではない
相関係数は「値動きの方向の一致度」であり、値動きの大きさ(ボラティリティ)やリターンの良し悪しとは別物です。例えばゴールドは株式との相関こそ低いものの、それ自体の値動きは小さくありません。組み合わせ全体での効果はバックテストやポートフォリオ最適化で確認するのが確実です。
③ 過去の相関は将来の相関を保証しない
金利環境や市場構造が変われば、資産間の関係も変わります。本記事のデータも将来の分散効果を保証するものではありません。
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