積立は何年続けると元本割れしにくかったのか
ローリングリターンで主要6資産を検証【2020-2025】

積立投資は「長く続ければ元本割れしにくい」とよく言われます。本当にそうだったのか、実際の基準価額で確かめました。使うのはローリングリターンという方法です。投資を始める月を1ヶ月ずつずらして「1年続けたら」「3年続けたら」をすべてのパターンで計算し、一番良かった場合・悪かった場合まで含めて眺めます。2020年4月〜2025年10月の主要6資産で集計した結果、答えは「資産による」でした。機械的な集計であり、特定ファンドの推奨ではありません。

まず結論から

株式型+8資産バランスの5本
(積立3年続けた場合)
元本割れ 0%
開始月をずらした31パターンすべてでプラス
国内債券
(積立2年以上続けた場合)
元本割れ 100%
すべての開始月パターンで元本を下回った
検証期間
67ヶ月
2020年4月〜2025年10月・6本とも欠損なし

この期間では、全世界株式・米国株式・新興国株式・国内株式・8資産バランスの5本は、積立を3年続けたすべてのパターンで最終評価額が投下元本を上回りました。一方、国内債券は2年以上続けたすべてのパターンで元本割れ。「長く続ければ大丈夫」は、資産クラスによって成り立ったり成り立たなかったりした、というのが実測の結果です。

この結果を将来に当てはめる前に:検証期間の起点である2020年4月はコロナショック直後の回復局面にあたり、株式には特に追い風の期間でした。元本割れの少なさは歴史的にみて良く出やすい条件です。異なる期間では異なる結果になり得ます。
最新の数値はツールで確認できます

本記事は2026年7月5日時点で作成したスナップショットです(計測期間:2020年4月〜2025年10月)。最新のデータは無料のローリングリターン分析ツールでいつでも確認できます。

ローリングリターンとは?開始月をずらして全部試す方法

投資の成績は「いつ始めたか」で大きく変わります。たまたま良いタイミングで始めた1回分の結果だけを見ても、参考になりません。そこでローリングリターンでは、開始月を1ヶ月ずつずらしたすべてのパターンを計算します。たとえば「3年」なら、2020年4月開始・2020年5月開始・2020年6月開始……と31通りの「3年間」を作り、その全部の結果を並べて、一番悪かった場合・真ん中・一番良かった場合を見ます。

この記事では2通りの投資のしかたで集計しました。

  • 積立投資:開始月から毎月同じ金額で買い続けた場合。「最終評価額 ÷ 積み立てた元本」の比率で表します(100%未満=元本割れ)。年率ではありません。
  • 一括投資:開始月にまとめて買った場合。保有期間ごとの年率リターンで表します。

積立を続けた場合:元本割れはどれだけ減ったか

まず積立です。株式型と8資産バランスの5本では、1年でやめた場合は開始月によって7.3〜27.3%のパターンで元本割れがありました。それが3年続けると、5本とも全パターンでプラスになりました。

ただし国内債券は逆でした。1年で83.6%、2年以上ではすべてのパターンで元本割れ。この期間は国内金利が上昇し、債券価格には逆風だったためです。

下の表の「最悪」「中央」「最高」は最終評価額÷積み立てた元本の比率です。100%未満(赤字)は元本割れを意味します。4年は計算できるパターン数が19と少ないため、参考値です。

資産クラス続けた年数パターン数元本割れの割合最悪中央最高
全世界株式1年557.3%94.8%111.2%126.6%
全世界株式2年430.0%102.3%119.8%140.0%
全世界株式3年310.0%120.0%133.8%147.8%
全世界株式4年※190.0%129.2%150.7%163.6%
米国株式1年559.1%92.7%113.9%127.7%
米国株式2年430.0%104.7%122.8%146.4%
米国株式3年310.0%122.3%139.4%156.7%
米国株式4年※190.0%133.0%156.5%177.7%
新興国株式1年5527.3%92.9%105.1%127.1%
新興国株式2年4316.3%93.0%109.3%135.9%
新興国株式3年310.0%103.0%119.0%147.3%
新興国株式4年※190.0%113.7%125.7%153.5%
国内株式1年5518.2%96.4%107.5%122.7%
国内株式2年430.0%100.5%116.8%136.1%
国内株式3年310.0%116.8%128.0%141.4%
国内株式4年※190.0%128.3%137.7%152.8%
国内債券1年5583.6%96.8%98.5%100.8%
国内債券2年43100.0%95.5%97.3%99.2%
国内債券3年31100.0%94.5%96.2%98.5%
国内債券4年※19100.0%93.3%94.4%96.2%
Slim8資産1年5512.7%96.6%105.0%115.1%
Slim8資産2年432.3%98.9%109.5%117.6%
Slim8資産3年310.0%107.9%115.5%124.7%
Slim8資産4年※190.0%112.8%121.4%129.5%

※4年はパターン数が19と少ないため参考値として掲載しています。数値は「最終評価額÷積み立てた元本」の比率で、100%未満は元本割れです。

一括投資で見た場合:開始時期でこれだけ違う

同じ6本について、開始月にまとめて投資した場合の年率リターンも集計しました。「最悪」と「最高」の開きを見ると、始めた時期しだいで結果が大きく変わったことが分かります。たとえば全世界株式の1年保有は、いちばん悪い開始月で年率-5.6%、いちばん良い開始月で年率+48.7%でした。

資産クラス保有年数パターン数最悪(年率)中央(年率)最高(年率)プラスの割合
全世界株式1年55-5.6%21.1%48.7%96.4%
全世界株式2年437.7%20.1%31.4%100.0%
全世界株式3年3114.0%18.9%23.8%100.0%
全世界株式4年※1913.3%20.0%25.4%100.0%
米国株式1年55-6.1%23.7%52.7%94.5%
米国株式2年4310.7%22.7%37.7%100.0%
米国株式3年3115.2%22.4%26.3%100.0%
米国株式4年※1916.1%23.2%29.6%100.0%
新興国株式1年55-11.4%11.9%53.7%72.7%
新興国株式2年43-4.3%11.0%28.4%86.0%
新興国株式3年313.0%8.7%22.8%100.0%
新興国株式4年※193.8%9.6%16.2%100.0%
国内株式1年55-7.3%16.1%41.2%89.1%
国内株式2年433.7%16.3%25.5%100.0%
国内株式3年3111.9%15.2%22.8%100.0%
国内株式4年※1910.5%14.2%19.6%100.0%
国内債券1年55-5.3%-2.3%0.5%7.3%
国内債券2年43-4.0%-2.3%-1.2%0.0%
国内債券3年31-3.2%-2.5%-1.0%0.0%
国内債券4年※19-3.1%-2.2%-1.8%0.0%
Slim8資産1年55-4.7%9.7%27.6%92.7%
Slim8資産2年432.5%9.9%16.4%100.0%
Slim8資産3年316.4%8.8%12.5%100.0%
Slim8資産4年※196.0%9.3%12.8%100.0%

一括投資でも、株式型は2年以上のパターンでプラスだった割合が高く出ました。一方、国内債券は1〜4年のどの保有年数でも中央の年率がマイナスで、長く持つほど良くなったわけではありませんでした。機械的な集計であり、特定ファンドへの投資推奨ではありません。積立と一括の違いそのものに興味がある方は、積立投資と一括投資の比較記事もご覧ください。

大事な注意:この5年半は株式に追い風だった

対象期間は2020年4月から2025年10月までです。起点はコロナショック直後の回復局面で、米国株式・全世界株式などには特に追い風でした。そのため、株式型で「3年続けたら全パターンでプラス」という結果が出たことを、将来にもそのまま当てはめることはできません

また、国内債券の結果が示すように、資産クラスによっては続ける期間を延ばしても元本割れが減らないケースがありました。この記事の数字は「この5年半ではどうだったか」を示すものであり、積立期間についての一般法則ではありません

データと計算方法

対象ファンド

各資産クラスの代表的なインデックスファンドとして、次の6本の公表データ(基準価額)を月次化して使いました。計測期間はいずれも2020年4月〜2025年10月の67ヶ月、欠損はありません。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
  • eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
  • eMAXIS Slim 国内債券インデックス
  • eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

計算のしかた

一括投資は、開始月の基準価額で一括購入し、1年・2年・3年・4年後の月に売却したものとして年率換算しました。積立投資は、開始月から評価月の前月まで毎月末に同額で購入し、評価月の基準価額で最終評価額を計算しました。開始月から12×nヶ月後の月がデータ内に存在するパターンだけを採用しています。4年はパターン数19のため参考値とし、5年は掲載していません。

本記事は過去データを機械的に集計したものです。税金、売買タイミング、分配金の受け取り方、将来の市場環境は反映していません。特定ファンドへの投資推奨ではありません。

自分の候補ファンドで確かめる

この記事では主要6資産だけを固定の条件で見ました。実際に検討しているファンドがある場合は、ローリングリターン分析ツールで最大5本まで選び、1年・2年・3年保有した場合のリターンの幅と、プラスだったパターンの割合を確認できます。

ローリングリターン分析で確認する

開始時期をずらした保有期間別リターンを、ファンドごとに横並びで確認できます。すべて無料・登録不要です。

よくある質問

Q. ローリングリターンとは何ですか?
投資を始める月を1ヶ月ずつずらしながら、一定の保有期間ごとのリターンをすべて計算し、その最高・中央値・最悪の幅を見る方法です。開始時期によって結果がどれだけ変わったかを、過去データで確認できます。機械的な集計であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
Q. 積立を長く続ければ元本割れしなくなりますか?
断定できません。本記事の計測期間(2020年4月〜2025年10月)では、全世界株式クラスの代表ファンドは積立3年継続の31窓すべてで最終評価額が投下元本を上回りましたが、国内債券クラスでは2年以上のすべての窓で下回りました。資産クラスと期間によって結果は大きく異なります。計測期間は株式に追い風の局面を多く含むため、異なる期間では異なる結果になり得ます。機械的な集計であり、特定ファンドへの投資推奨ではありません。
Q. 一括投資と積立投資でローリングリターンは違いますか?
違います。一括投資は開始月にまとめて投資した場合の保有期間別の年率リターンです。積立投資は開始月から評価月の前月まで毎月同額で購入し、最終評価額が投下元本を上回ったかを見ています。この記事の積立表は年率換算ではなく、最終評価額 ÷ 投下元本の比率で示しています。
Q. どのファンドのデータで計算していますか?
2020年4月〜2025年10月に月次データが揃う6本を使いました。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、eMAXIS Slim 新興国株式インデックス、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)、eMAXIS Slim 国内債券インデックス、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の公表データ(基準価額)を月次化して集計しています。過去データに基づく機械的な集計であり、特定ファンドへの投資推奨ではありません。
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