バックテストの条件
今回のバックテストは以下の条件で実施しました。両ファンドの共通データが揃う最も長い期間を採用しています。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 対象ファンド① | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
| 対象ファンド② | iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし) |
| 比率パターン | 100:0 / 90:10 / 80:20 / 70:30 / 60:40 / 50:50 / 0:100(オルカン:ゴールド) |
| バックテスト期間 | 2020年4月〜2025年10月 |
| 毎月の積立額 | 30,000円(初期投資なし・積立66回) |
| 総投資額 | 1,980,000円 |
比率別バックテスト結果の一覧
同じ期間・同じ積立額で、比率だけを変えた結果がこちらです。
| 比率 (オルカン:ゴールド) |
最終評価額 | 総リターン | 年率リターン (CAGR) |
ボラティリティ | シャープレシオ | 最大ドローダウン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100 : 0 | 3,583,179円 | +80.97% | 23.72% | 13.89% | 1.61 | -8.41% |
| 90 : 10 | 3,676,361円 | +85.67% | 23.89% | 12.85% | 1.74 | -6.21% |
| 80 : 20 | 3,769,543円 | +90.38% | 24.02% | 12.00% | 1.86 | -4.03% |
| 70 : 30 | 3,862,725円 | +95.09% | 24.11% | 11.37% | 1.96 | -3.36% |
| 60 : 40 | 3,955,907円 | +99.79% | 24.16% | 11.01% | 2.03 | -2.90% |
| 50 : 50 | 4,049,088円 | +104.50% | 24.18% | 10.94% | 2.04 | -2.67% |
| 0 : 100 | 4,514,998円 | +128.03% | 23.68% | 14.47% | 1.54 | -6.08% |
この期間に関する限り、混合比率の範囲(100:0〜50:50)ではゴールドを増やすほどリターンが増え、同時にボラティリティ・最大ドローダウンが減るという結果になりました。リターンとリスクが比例して増えたオルカン×NASDAQ100の比率別バックテストとは対照的です。
下の各リンクから、同じ条件をFundLabのバックテスト画面でそのまま再現できます(積立額や期間も自由に変更できます)。
注目ポイント①:NASDAQ100と真逆——「混ぜるほどリスクが下がりリターンは増えた」
混合比率の範囲(100:0〜50:50)では、ゴールドを10%増やすごとに最終評価額が約9.3万円ずつ増え、同時に最大ドローダウンは8.41%→2.67%へ、ボラティリティは13.89%→10.94%へと縮小しました。リターンを増やすとリスクも増えるのが通常のトレードオフですが、この期間のオルカン×ゴールドでは両方が同時に改善しています。
理由は2つあります。1つ目は、2つの資産の値動きの相関が低いこと。FundLabの実測では、オルカンとゴールドの相関係数は0.21(2020年5月〜2025年10月・相関係数マトリクス記事参照)で、株式が下がる局面でゴールドが同時に下がるとは限らず、互いの下落を打ち消し合う分散効果が働きました。2つ目は、この期間のゴールド自体のリターンが株式並みに高かったこと(後述の注意点)。
オルカン×NASDAQ100の同じ実験では、NASDAQ100比率を上げるほどリターンと一緒に最大ドローダウンも拡大し、シャープレシオは一貫して低下しました(オルカンとNASDAQ100は中身が重なるため)。一方ゴールドは株式とほぼ独立に動くため、混ぜることが本来の意味での「分散」になります。同じ「混ぜる」でも、相手の資産との相関によって結果が正反対になる好例です。
注目ポイント②:シャープレシオ最大は50:50(ただし期間の特殊性に注意)
シャープレシオ(リスク1単位あたりのリターン)は、オルカン100%の1.61からゴールド比率を上げるごとに改善し、50:50で最大の2.04に達しました。FundLabのポートフォリオ最適化(現代ポートフォリオ理論)でこの2ファンド・同期間の最大シャープレシオ配分を計算しても、結果は「50:50」でした。
ただし、この結果をそのまま将来に当てはめるのは危険です。この期間はゴールドが2024年に+38.37%、2025年(10月まで)に+48.73%と歴史的な上昇を見せた時期を含みます。ゴールド単体のCAGRが23.68%とオルカン(23.72%)に並んだのは、長い歴史の中でもまれな状況です。ゴールドの上昇が一服すれば、ゴールド比率の高い配分のリターンは下がり、最適比率も変わります。
一般論として言えるのは「相関の低い資産を混ぜるとリスク(変動)は抑えやすい」ことまでで、「リターンも増える」かどうかはその期間のゴールド次第です。
注目ポイント③:年ごとに見る——2022年はゴールドが、2020年は株式が支えた
年ごとのリターンを見ると、分散効果の「両面」がよく分かります。
| 比率(オルカン:ゴールド) | 2020年(株式好調) | 2022年(株式下落) | 2025年(ゴールド高騰・10月まで) |
|---|---|---|---|
| 100 : 0 | +23.91% | -5.65% | +17.54% |
| 80 : 20 | +18.91% | -2.39% | +23.80% |
| 50 : 50 | +11.42% | +2.86% | +33.17% |
| 0 : 100 | -1.07% | +12.72% | +48.73% |
株式が下落した2022年、オルカン100%は-5.65%でしたが、ゴールドは+12.72%。50:50なら下落年でも+2.86%とプラス圏でした。一方、株式が好調だった2020年はゴールドが-1.07%と足を引っ張り、ゴールド比率が高いほどリターンが低くなっています。分散とは「常にどちらかが補う」関係であって、両方が同時に上がることを保証するものではありません。どちらの年の動きを「我慢できるか」で、許容できる比率が見えてきます。
「期間によって結果は大きく変わる」——ゴールドは特に
重要な注意点があります。このバックテストの結果は2020年4月〜2025年10月という、ゴールドに非常に有利だった特定の期間のものです。
ゴールドの歴史を振り返ると、1980年頃の高値から約20年間にわたり低迷した時期があります。また、ゴールドは株式と異なり配当や利益成長を生まない資産で、リターンの源泉は価格上昇のみです。「過去5年で株式並みに上がったから今後も上がる」とは言えません。
「何対何が正解か」は過去データだけでは決まらず、自分のリスク許容度・投資期間・どの年の動きなら耐えられるかに合わせた選択が重要です。
FundLabで自分の条件で試す
この記事では月3万円・7パターンの比率で比較しましたが、FundLabでは比率を1%刻みで自由に設定でき、積立額・開始時期も変更できます。85:15や75:25など、気になる比率をそのまま検証できます。
将来の資産がどう広がるかはモンテカルロシミュレーションで、オルカン・ゴールド以外の組み合わせの相関は相関マトリクスでも確認できます。
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比率・積立額・開始時期を自由に設定して、過去データで検証できます。
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よくある質問
Q. オルカンにゴールドを混ぜると、過去の積立実績はどう変わりましたか?
2020年4月〜2025年10月に月3万円(総投資額198万円)を積み立てたバックテストでは、ゴールド比率を10%増やすごとに最終評価額は約9.3万円ずつ増加し(オルカン100%で約358.3万円、50:50で約404.9万円)、同時に最大ドローダウンは8.41%から2.67%まで縮小、シャープレシオは1.61から2.04まで上昇しました。ただしこの期間は2024〜2025年のゴールド高騰を含む点に注意が必要です。
Q. オルカンとゴールドの最適な比率は何対何ですか?
最適な比率は投資家のリスク許容度や相場観によって異なり、一概には言えません。過去データ(2020年4月〜2025年10月)では、シャープレシオが最も高かったのは50:50(2.04)で、現代ポートフォリオ理論による最大シャープレシオの計算でも同じ結果でした。ただしこの結果はゴールドが歴史的な上昇を続けた期間のデータによるもので、期間が変われば最適比率も大きく変わります。
Q. ゴールドを混ぜるとなぜリスクが下がるのですか?
オルカンとゴールドの値動きの相関係数が低い(実測0.21)ためです。株式が下落した2022年はオルカンが-5.65%に対しゴールドは+12.72%で、互いの下落を打ち消し合う分散効果が働きました。逆に株式が好調だった2020年はゴールドが-1.07%と足を引っ張っており、分散は「常にどちらかが補う」関係であって、両方が同時に上がる保証ではありません。
Q. ゴールドを組み入れる際の注意点はありますか?
3点あります。①今回の期間はゴールドが2024年+38.37%・2025年+48.73%(10月まで)と歴史的に上昇した時期を含み、結果がゴールドに有利に出やすいこと。②ゴールドは配当や利益成長を生まない資産で、価格上昇のみがリターンの源泉であること。③過去には1980年頃の高値から約20年間低迷した時期もあり、長期で常に上昇してきた資産ではないことです。
※ 本記事のバックテスト結果は過去の基準価額データに基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。本記事は特定の金融商品や配分比率の購入・採用を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。信託報酬等のスペックは各社の最新目論見書でご確認ください。