S&P500×ゴールドは何対何?
比率別バックテスト比較【2020〜2025年】

「S&P500にゴールドを混ぜるなら、比率は何対何がいいのか?」——米国株一本に集中する不安への分散先として注目されるゴールド(金)について、実際の投資信託データで答えます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とiシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)を、100:0から50:50、そしてゴールド単体まで7パターンの比率で月3万円積立バックテストしました。先に結論の要点:この期間(2020年4月〜2025年10月)では、ゴールド比率を10%増やすごとに最終評価額は約7.2万円増え、最大ドローダウンは12.44%→3.16%へと約4分の1に縮小、シャープレシオは1.55→2.02まで上昇しました。一方で年率リターン(CAGR)は26.11%→25.45%へわずかに低下しており、オルカン×ゴールドとは少し違う構図です。なお、この期間はゴールドが歴史的に上昇した時期を含む点に注意が必要です。

バックテストの条件

今回のバックテストは以下の条件で実施しました。両ファンドの共通データが揃う最も長い期間を採用しています。オルカン×ゴールドの比率別バックテストと期間・積立額が完全に同一なので、2つの記事を並べてそのまま比較できます。

項目設定値
対象ファンド①eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
対象ファンド②iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)
比率パターン100:0 / 90:10 / 80:20 / 70:30 / 60:40 / 50:50 / 0:100(S&P500:ゴールド)
バックテスト期間2020年4月〜2025年10月
毎月の積立額30,000円(初期投資なし・積立66回)
総投資額1,980,000円
積立配分について:毎月の積立額を指定比率で各ファンドに配分して購入し続ける方式です(途中の売買によるリバランスなし)。年率リターン・ボラティリティ・シャープレシオの指標は、配分比率で加重した基準価額ベースの月次リターンから算出しています。

比率別バックテスト結果の一覧

同じ期間・同じ積立額で、比率だけを変えた結果がこちらです。

比率
(S&P500:ゴールド)
最終評価額 総リターン 年率リターン
(CAGR)
ボラティリティ シャープレシオ 最大ドローダウン
100 : 03,798,374円+91.84%26.11%15.81%1.55-12.44%
90 : 103,870,036円+95.46%26.07%14.55%1.67-10.03%
80 : 203,941,699円+99.08%25.98%13.46%1.79-7.61%
70 : 304,013,361円+102.70%25.85%12.57%1.90-5.15%
60 : 404,085,024円+106.31%25.67%11.94%1.98-3.74%
50 : 504,156,686円+109.93%25.45%11.61%2.02-3.16%
0 : 1004,514,998円+128.03%23.68%14.47%1.54-6.08%

この期間に関する限り、混合比率の範囲(100:0〜50:50)ではゴールドを増やすほど最終評価額が増え、同時にボラティリティ・最大ドローダウンが大きく減るという結果になりました。特に最大ドローダウンの縮小幅(-12.44%→-3.16%)は、株式単体の値動きが荒いS&P500だからこそ顕著です。

下の各リンクから、同じ条件をFundLabのバックテスト画面でそのまま再現できます(積立額や期間も自由に変更できます)。

注目ポイント①:最大ドローダウンが約4分の1に——相関0.18の分散効果

混合比率の範囲(100:0〜50:50)では、ゴールドを10%増やすごとに最大ドローダウンが着実に浅くなり、12.44%→3.16%へと約4分の1まで縮小しました。ボラティリティも15.81%→11.61%に低下し、シャープレシオは1.55→2.02まで改善しています。

理由は、2つの資産の値動きの相関が低いことです。FundLabの実測では、S&P500とゴールドの相関係数は0.18(2020年5月〜2025年10月・相関係数マトリクス記事参照)。株式が下がる局面でゴールドが同時に下がるとは限らず、互いの下落を打ち消し合う分散効果が働きました。オルカン×ゴールドの相関(0.21)よりさらに低く、オルカン×NASDAQ100のような「中身が重なる組み合わせ」とは対照的な動きです。

📌 オルカン×ゴールドとの比較

オルカン×ゴールドの同じ実験(同一期間・同一条件)では、株式100%の最大ドローダウンは-8.41%でした。S&P500は-12.44%とオルカンより値動きが荒い分、ゴールドを混ぜたときのリスク低減効果も大きく出ています。一方、最終評価額はS&P500側が全比率で上回りました(100%同士で約379.8万円 vs 約358.3万円、50:50同士で約415.7万円 vs 約404.9万円)。ただしこれは米国株が好調だった期間の結果であり、優劣が将来も続くとは限りません。

注目ポイント②:年率リターンは微減なのに最終評価額は増えた——積立は「後半に強い資産」が効く

一覧表をよく見ると、面白い現象があります。年率リターン(CAGR)はS&P500 100%が最高(26.11%)で、ゴールドを混ぜるほどわずかに低下(50:50で25.45%)しているのに、積立の最終評価額はゴールドを混ぜるほど増えているのです。

これは積立投資の「経路依存性」によるものです。毎月の積立では、投資後半ほど積み上がった残高が大きく、後半のリターンが最終評価額に強く効きます。今回の期間では、ゴールドが2024年に+38.37%、2025年(10月まで)に+48.73%と高騰した時期がちょうど積立後半(残高最大期)に当たりました。同じ2025年のS&P500は+13.20%です。

裏を返せば、もし期間の終盤にゴールドが下落していれば、逆の結果になっていたということでもあります。「最終評価額が増えたからゴールドが優れている」と一般化はできず、この期間と積立という買い方の組み合わせが生んだ結果として読む必要があります。

注目ポイント③:シャープレシオ最大は50:50(ただし期間の特殊性に注意)

シャープレシオ(リスク1単位あたりのリターン)は、S&P500 100%の1.55からゴールド比率を上げるごとに改善し、50:50で最大の2.02に達しました。FundLabのポートフォリオ最適化(現代ポートフォリオ理論)でこの2ファンド・同期間の最大シャープレシオ配分を計算しても、結果は「50:50」でした。オルカン×ゴールドでも最大シャープレシオは50:50(2.04)で、同じ構図です。

ただし、この結果をそのまま将来に当てはめるのは危険です。この期間はゴールドが歴史的な上昇を見せた時期を含み、ゴールド単体のCAGR(23.68%)が株式に迫る水準だったこと自体が、長い歴史の中ではまれな状況です。ゴールドの上昇が一服すれば、ゴールド比率の高い配分のリターンは下がり、最適比率も変わります。

一般論として言えるのは「相関の低い資産を混ぜるとリスク(変動)は抑えやすい」ことまでで、「リターンも増える」かどうかはその期間のゴールド次第です。

注目ポイント④:年ごとに見る——2022年はゴールドが、2020年はS&P500が支えた

年ごとのリターンを見ると、分散効果の「両面」がよく分かります。

比率(S&P500:ゴールド)2020年(株式好調)2022年(株式下落)2025年(ゴールド高騰・10月まで)
100 : 0+20.08%-6.47%+13.20%
80 : 20+15.85%-3.19%+19.79%
50 : 50+9.51%+2.20%+30.13%
0 : 100-1.07%+12.72%+48.73%

株式が下落した2022年、S&P500 100%は-6.47%でしたが、ゴールドは+12.72%。50:50なら下落年でも+2.20%とプラス圏でした(60:40でも+0.33%)。一方、株式が好調だった2020年はゴールドが-1.07%と足を引っ張り、ゴールド比率が高いほどリターンが低くなっています。分散とは「常にどちらかが補う」関係であって、両方が同時に上がることを保証するものではありません。どちらの年の動きを「我慢できるか」で、許容できる比率が見えてきます。

「期間によって結果は大きく変わる」——ゴールドは特に

重要な注意点があります。このバックテストの結果は2020年4月〜2025年10月という、ゴールドに非常に有利だった特定の期間のものです。

ゴールドの歴史を振り返ると、1980年頃の高値から約20年間にわたり低迷した時期があります。また、ゴールドは株式と異なり配当や利益成長を生まない資産で、リターンの源泉は価格上昇のみです。「過去5年で株式並みに上がったから今後も上がる」とは言えません。

「何対何が正解か」は過去データだけでは決まらず、自分のリスク許容度・投資期間・どの年の動きなら耐えられるかに合わせた選択が重要です。

FundLabで自分の条件で試す

この記事では月3万円・7パターンの比率で比較しましたが、FundLabでは比率を1%刻みで自由に設定でき、積立額・開始時期も変更できます。85:15や75:25など、気になる比率をそのまま検証できます。

将来の資産がどう広がるかはモンテカルロシミュレーションで、S&P500・ゴールド以外の組み合わせの相関は相関マトリクスでも確認できます。

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比率・積立額・開始時期を自由に設定して、過去データで検証できます。
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よくある質問

Q. S&P500にゴールドを混ぜると、過去の積立実績はどう変わりましたか?

2020年4月〜2025年10月に月3万円(総投資額198万円)を積み立てたバックテストでは、ゴールド比率を10%増やすごとに最終評価額は約7.2万円ずつ増加し(S&P500 100%で約379.8万円、50:50で約415.7万円)、最大ドローダウンは12.44%から3.16%まで縮小、シャープレシオは1.55から2.02まで上昇しました。一方で年率リターン(CAGR)は26.11%から25.45%へとわずかに低下しており、最終評価額が増えたのは2024〜2025年のゴールド高騰が積立後半(残高が大きい時期)に当たったためです。

Q. S&P500とゴールドの最適な比率は何対何ですか?

最適な比率は投資家のリスク許容度や相場観によって異なり、一概には言えません。過去データ(2020年4月〜2025年10月)では、シャープレシオが最も高かったのは50:50(2.02)で、現代ポートフォリオ理論による最大シャープレシオの計算でも同じ結果でした。ただしこの結果はゴールドが歴史的な上昇を続けた期間のデータによるもので、期間が変われば最適比率も大きく変わります。

Q. オルカン×ゴールドとS&P500×ゴールドでは結果に違いがありましたか?

同じ期間・同じ条件で比較すると、S&P500×ゴールドの方が全比率で最終評価額は大きくなりました(100%同士で約379.8万円 vs 約358.3万円、50:50同士で約415.7万円 vs 約404.9万円)。一方で株式単体の最大ドローダウンはS&P500の-12.44%がオルカンの-8.41%より深く、値動きの荒さはS&P500側が上回りました。シャープレシオが最大になる比率はどちらも50:50でした。この優劣は米国株が好調だった期間のデータによるもので、将来も同じとは限りません。

Q. ゴールドを組み入れる際の注意点はありますか?

3点あります。①今回の期間はゴールドが2024年+38.37%・2025年+48.73%(10月まで)と歴史的に上昇した時期を含み、結果がゴールドに有利に出やすいこと。②ゴールドは配当や利益成長を生まない資産で、価格上昇のみがリターンの源泉であること。③過去には1980年頃の高値から約20年間低迷した時期もあり、長期で常に上昇してきた資産ではないことです。

※ 本記事のバックテスト結果は過去の基準価額データに基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。本記事は特定の金融商品や配分比率の購入・採用を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。信託報酬等のスペックは各社の最新目論見書でご確認ください。

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