インフレで貯金の価値はどう変わる?20年後の1,000万円と老後資金

貯金が1,000万円あっても、20年後に今と同じものを買えるとは限りません。物価が上がると、お金の金額が変わらなくても、買える量が少なくなるからです。

例えば、物価が毎年2%ずつ上がり、貯金の残高が1,000万円のままだとすると、20年後の買える力は今の約673万円分になります。

老後資金や積立の目標を考えるときは、「何万円になるか」に加えて、「そのお金でどれくらい暮らせるか」も確認しておくと、金額の見方が変わります。この記事では、物価上昇の簡単な計算と、FundLabの物価対応機能の使い方を紹介します。

この記事の物価上昇率は計算例です。将来の物価や運用成果を予測するものではありません。

貯金の残高と「買える力」は別のもの

今、1万円で買えるものが、将来1万5,000円になるとします。同じ1万円を持っていても、以前と同じ量は買えません。

このように、お金でどれだけの商品やサービスを買えるかを「購買力」と呼びます。難しく考えず、お金の買える力と捉えてください。

口座に表示される金額が「額面」です。一方、その金額を今の物価に置き換えたものが「現在の価値」です。FundLabでは、将来の試算結果をこの2つの見方で確認できます。

20年後の1,000万円は、今のいくらに相当する?

貯金の残高が20年間ずっと1,000万円だった場合を考えてみます。

毎年の物価上昇率20年後の口座残高今の買える力に換算
0%1,000万円1,000万円分
1%1,000万円約820万円分
2%1,000万円約673万円分
3%1,000万円約554万円分

残高を固定し、預金金利や入出金を含めずに物価の影響だけを計算した例です。毎年同じ率で物価が上がると仮定しています。

年2%は1年では小さく見えますが、20年間続くと物価は約1.49倍になります。そのため、将来の1,000万円を今のお金の感覚に直すと、約673万円分になるという計算です。

計算式は、次のようになります。

現在の価値 = 将来の金額 ÷(1+毎年の物価上昇率)年数

年2%なら、物価上昇率に0.02を入れます。式を覚えなくても、「将来のお金は、将来の物価で使う」という点を押さえれば十分です。

「老後に2,000万円」の意味も変わる

目標が「20年後の口座残高を2,000万円にする」なら、目標の額面は2,000万円です。

一方、「今の2,000万円と同じ買える力を20年後にも持ちたい」なら、物価上昇を考える必要があります。年2%が20年間続く場合、必要な額面は約2,972万円です。

この2つは、同じ「2,000万円」という言葉でも目標が異なります。自分の目標金額がどちらを指しているのかを、最初にそろえておきましょう。

目標金額シミュレーションで「物価上昇を考慮する」をオンにすると、入力した目標を今の価値として扱い、将来必要な額面へ置き換えます。年2%・20年・目標2,000万円なら、約2,972万円を将来の目標として積立額を試算します。

ここで表示される必要積立額は、初年度の毎月額です。以後は、積立額も設定した物価上昇率で1年ごとに増やす前提になります。

取り崩すお金も、毎月同じ額でよいとは限らない

老後の生活費として、資産から毎月10万円を取り崩す場合を考えてみます。

毎月10万円を受け取り続けても、物価が上がれば、その10万円で買える量は少なくなります。生活費の物価上昇に合わせて、取り崩す金額も増やす条件を考えることができます。

FundLabの定額取り崩しで物価対応をオンにし、初年度月10万円、物価上昇率年2%とすると、予定する月額は次のように増えます。

シミュレーションの年その年の毎月の取り崩し予定額
1年目10万円
2年目10万2,000円
10年目約11万9,500円
20年目約14万5,700円

初年度の金額を基準に、1年ごとに増やす計算です。表は取り崩しの予定額であり、資産が尽きた後も受け取れることを示すものではありません。

運用中の値動きが同じなら、受取額を増やすほど資産から出ていくお金も増えます。取り崩しシミュレーションでは、残高の推移や、試算したパターンのうち期間内に資産が尽きた割合を確認できます。

なお、残高の一定割合を取り崩す「定率方式」は別の扱いです。物価対応をオンにしても取り崩し率そのものは増やさず、受取額や残高を現在の価値に換算して表示します。生活費が物価に合わせて確保される仕組みではありません。

FundLabでは、目的に合わせて3つのツールで確認できる

モンテカルロは、過去の値動きをさまざまに並べて将来の資産額を試算するツールです。

確認したいこと使うツール物価対応をオンにしたとき
積立後の資産に、どれくらいの買える力があるかモンテカルロ積立額を毎年増やし、結果を額面と現在の価値で表示
今の目標金額と同じ買える力を、将来も用意したい目標金額目標を将来の額面に換算し、毎年増額する積立の初年度月額を試算
物価に合わせて生活費を増やすと、資産はどう推移するか取り崩し定額方式の取り崩し額を毎年増やし、残高なども現在の価値で表示

モンテカルロ

積立後の資産に、どれくらいの買える力があるかを確認できます。

物価対応をオンにすると、積立額を毎年増やし、結果を額面と現在の価値で表示します。

目標金額

今の目標金額と同じ買える力を、将来も用意したいときに使います。

物価対応をオンにすると、目標を将来の額面に換算し、毎年増額する積立の初年度月額を試算します。

取り崩し

物価に合わせて生活費を増やすと、資産がどう推移するかを確認できます。

物価対応をオンにすると、定額方式の取り崩し額を毎年増やし、残高なども現在の価値で表示します。

各ツールの設定で「物価上昇を考慮する」をオンにし、「想定物価上昇率」を入力します。結果は「将来の額面」と「現在の価値に換算」で見比べられます。

物価対応は、結果の表示だけを切り替える機能ではありません。 モンテカルロと目標金額では積立額も毎年増えるため、「毎月5万円をずっと続ける条件」と「初年度は月5万円で、翌年から増やす条件」は違う試算になります。収入や家計の余裕に応じて、その積立額を続けられるかも確認してください。

自分の目標や生活費でも試してみる

各ツールで「物価上昇を考慮する」をオンにし、年1%・2%・3%など条件を変えて比べられます。積立額と定額取り崩し額は、初年度の毎月額を入力します。

物価上昇率は何%にすればよい?

将来の物価上昇率は分からないため、1つの数字を正解と決めることはできません。例えば1%・2%・3%と条件を変えると、物価の違いが目標や取り崩し額にどれくらい影響するかを比べられます。これらは比較用の仮定で、将来の物価がこの範囲に収まるという意味ではありません。

日本銀行は消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」としていますが、これは将来の物価が毎年必ず2%上がるという保証ではありません。日本銀行:2%の「物価安定の目標」

また、全国の物価の動きと、一人ひとりの生活費の増え方は必ずしも一致しません。消費者物価指数は、家計が購入する商品やサービスをまとめて物価の動きを測る指標です。食費、住居費などに何割使うかによって、家計への影響は変わります。総務省統計局:消費者物価指数

FundLabの物価対応は、自分で指定した年率が毎年続く条件を置く機能です。実際の消費者物価指数を自動取得したり、将来のインフレ率を予測したりするものではありません。

試算するときの前提

この記事の金額表は、仮定した物価上昇率から算出した計算例です。特定の預金商品や投資信託の将来成果を示すものではありません。

取り崩し額の表は、初年度の金額を12か月ごとに増やす計算です。「20年目」は増額19回後で、開始から丸20年が経過した時点とは異なります。

FundLabの将来シミュレーションは、選んだ投資信託の過去の月ごとの値動きから試算します。物価率を変えても、物価上昇に伴う金利・株価などの変化を連動させて予測するモデルではありません。過去と同じ値動きが将来も続くとは限らず、計算のたびに結果も変わります。特に長期の試算は、限られた過去データを繰り返し使うため、慎重に読む必要があります。

また、税金、購入時・売却時の費用、分配金は考慮していません。信託報酬は使用する基準価額に反映されています。本記事は、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。