過去の上位ファンドは
その後も上位だった?739本で検証

投資信託ランキングを開くと、上から順に数字が並びます。1位、2位、3位。数字がきれいに並ぶほど、上にあるファンドが次も強いように見えてきます。しかしランキングが写しているのは、これからではなく過去です。では、過去の上位ファンドは、その後の期間でも本当に上位に残ったのでしょうか。投資信託739本を、2020年9月〜2025年9月の前半2年半と後半2年半に分けて調べました。

この記事を想定している読者

投資信託をランキング上位から選ぼうとしている人。3年リターンや5年リターンをどこまで信じてよいか迷っている人。ランキングを否定するのではなく、正しい使い方を知りたい人を想定しています。

まず結論:過去の強さは一部続いたが、順位はかなり動いた

前半で上位20%だった147本のうち、後半も上位20%に残ったのは44.2%でした。反対に言えば、55.8%は上位20%から外れたことになります。

前半上位20%が後半も上位44.2%147本中65本
前半上位から後半下位20%へ3.4%上位が全面的に崩れたわけではない
前半と後半の順位相関0.525同じ傾向はあるが、固定ではない

この結果は「過去の成績は無意味」とも、「上位を買えばよい」とも言えません。過去に強かったファンドは次も比較的強い傾向があった。しかし半数以上は同じ上位帯に残らなかった——これが今回のデータに最も近い読み方です。

どう比べたのか:同じ739本を、5年間の前半と後半で順位付け

2020年9月から2025年9月まで月次データがそろう739本を対象に、期間を同じ長さで2つに分けました。

区分期間順位に使った数字
前半2020年9月〜2023年3月(30ヶ月)年率リターン(CAGR)
後半2023年3月〜2025年9月(30ヶ月)年率リターン(CAGR)

CAGRは、期間全体の増え方を1年あたりに直した数字です。たとえば2年半で増えた結果を「毎年同じ割合で増えたとすると何%か」に置き換えます。ここでは難しい計算式を覚える必要はありません。期間の長さをそろえて比べるための数字と考えれば十分です。

739本をリターンの高い順に並べ、上位20%、21〜40%、41〜60%、61〜80%、下位20%の5グループに分けました。そして、前半の各グループが後半にどこへ移ったかを確認しています。

順位の移動:上位は残りやすいが、半数以上は別の順位帯へ

投資信託739本の前半2年半と後半2年半の順位帯の移動を示すヒートマップ
各行の合計は約100%。濃い色ほど、その順位帯へ移った割合が高いことを示します。端数処理のため合計が100%にならない場合があります。

前半上位20%のうち後半も上位だったのは44.2%。21〜40%へ移ったのが18.4%、41〜60%へ移ったのが21.8%でした。前半上位の多くは後半も真ん中より上に残りましたが、同じ「上位20%」を守れたのは半数未満です。

一方、前半下位20%は、後半も下位20%だった割合が62.2%でした。ただし12.2%は後半の上位20%まで上がっています。順位は動きます。しかし、完全にでたらめに入れ替わったわけでもありません。

「順位相関0.525」は何を意味するのか

順位相関とは
前半の順位と後半の順位が、どれくらい同じ並び方だったかを示す数字です。1に近いほど同じ、0に近いほど関係が弱く、マイナスなら上下が逆になる傾向を表します。

今回の0.525は、「ある程度は同じ方向だが、そのままではない」という水準です。前半上位20%の後半リターン中央値は年率21.2%、739本全体の中央値は15.2%でした。過去上位には、その後も比較的高いリターンだった傾向が見られます。

ただし同じ前半上位グループでも、後半リターンは最低-5.2%から最高44.8%まで広がりました。「上位グループだった」という情報だけでは、その後の道のりまではわかりません。

なぜ順位は入れ替わるのか

① 得意な相場がファンドごとに違う

国内株式、海外株式、債券、REIT、テーマ型などは、同じ時期に同じ動きをするわけではありません。前半で追い風だった資産が、後半では向かい風になることがあります。

② 直前の大きな上昇が順位を押し上げる

ランキングは期間の切り方に影響されます。特定の1年に大きく上がったファンドは、その1年が集計期間に入っている間は上位に残りやすく、期間から外れると順位が変わります。

③ 高いリターンと、続けやすさは別の数字

リターンが高くても、途中の下落が大きい場合があります。反対に、リターンは控えめでも値動きが比較的小さい場合があります。順位表の1列だけでは、投資中に経験する揺れまではわかりません。

ランキングは「答え」ではなく「候補を見つける入口」

ランキングを使わない方がよい、という話ではありません。多数のファンドから候補を探すには便利です。ただし、上から1本選んで終わりにせず、次の順番で確認すると見え方が変わります。

  1. 3年と5年の両方を見る:期間を変えても同じ傾向か
  2. 最大下落率と値動きの大きさを見る:高リターンの裏でどれだけ下がったか
  3. 積立実績ランキングも見る:一括の値上がり順位と、毎月積立の結果は同じか
  4. 最後にバックテストする:候補を同じ期間・同じ金額で並べる

FundLabの投資信託ランキングは、期間と指標を切り替えて並べ替えられます。気になるファンドが見つかったら、ファンド名から詳細を確認し、バックテストで比較できます。

順位を見たら、期間とリスクを変えてもう一度見る

3年・5年、リターン・シャープレシオ・最大下落率で順位がどう変わるか確認してください。1つの順位表だけで決めないことが、ランキングを活用する第一歩です。

検証の限界

  • 対象は2020年9月〜2025年9月の1つの相場環境です。別の5年間では持続性が変わる可能性があります。
  • 資産クラスや運用方針が異なるファンドをまとめて順位付けしています。同じ種類の中だけで比べた結果ではありません。
  • リターン順位のみの検証で、最大下落率や価格変動の大きさは順位に含めていません。
  • 期間中のデータがそろうファンドが対象のため、途中で償還・統合された商品を含まない偏りがあります。

本記事の位置づけ

本記事は投資信託の過去データを用いた一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入・継続・売却を推奨するものではありません。集計・シミュレーション・ランキングは将来の運用成果を予測・保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

よくある質問

Q. 過去の運用成績は、ファンド選びにまったく役立たないのですか?
まったく役立たないわけではありません。今回の739本では前半と後半の順位にある程度の関係があり、前半上位20%は後半も比較的高いリターンでした。ただし半数以上は同じ上位20%から外れており、過去順位だけで将来を判断することはできません。
Q. 順位相関0.525とは、簡単に言うとどのような意味ですか?
前半と後半の順位には同じ方向の傾向があるものの、順位がそのまま固定されるほど強くはない、という意味です。1なら完全に同じ順、0なら順位の関係がほぼない状態です。
Q. なぜ3年と3年ではなく、2年半ずつで比べたのですか?
2020年9月〜2025年9月の共通5年間を、重ならない同じ長さの2期間へ公平に分けるためです。前半と後半を各30ヶ月にし、同じ739本を比較しました。
Q. ランキングを見るときは、何を一緒に確認すればよいですか?
3年と5年の期間差、最大下落率、値動きの大きさ、シャープレシオ、積立実績を一緒に確認してください。FundLabでは指標を切り替えたランキングとバックテストを無料で利用できます。
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