新NISAなどで積立を始めたものの、下落を見て買付停止や売却を考えている人。「続けた方がよい」という一般論ではなく、実際の投資信託データで違いを確かめたい人を想定しています。
まず結論:継続が多くのケースで上回った。ただし「必ず」ではない
先に結果を示します。期末損益率の中央値は、積立継続が40.6%、買付を半年休止が33.0%、売却して半年後に再開が38.6%でした。
ここだけ読むと「下落時は何も考えず継続すればよい」と見えるかもしれません。しかし、そこまで単純な結論ではありません。休止や売却の方がよかったファンドも実際にありました。大切なのは、継続が有利になりやすかった理由と、この検証で言えないことを分けて読むことです。
どう比べたのか:下落を見た「次の月」から行動を変える
2020年1月から2025年9月まで月次データが途切れずにある162本を確認し、基準価額がそれまでの高値から初めて10%以上下がった147本を対象にしました。毎月の資金は1万円で統一しています。
| 行動 | 下落後の6ヶ月 | 既に持っている分 | 6ヶ月後 |
|---|---|---|---|
| 積立を継続 | 毎月1万円を購入 | 保有を続ける | そのまま継続 |
| 買付を半年休止 | 毎月1万円を現金で残す | 売らずに保有 | 通常の積立だけ再開 |
| 売却後に再開 | 全売却して現金で待つ | 現金にする | 待機資金を再投資し積立再開 |
比較を公平にするため、どの行動でも毎月1万円は資金として確保し、最後は投資信託の評価額と残った現金の合計で比べました。下落を事前に予知したのではなく、10%以上下がったことを月末に確認し、翌月から行動を変えた設定です。
147本の中央値では、半年休止の差が最も大きかった
半年休止では、下落後の安い価格で買える時期を6回分逃します。その後に価格が戻ると、休止中に買わなかった口数の差が残ります。継続と半年休止の損益率の差は、中央値で8.4ポイントでした。
一方、売却後再開との差は中央値で2.0ポイントです。売却している間にさらに下がれば、安い価格で戻れる場合もあります。反対に、待っている間に上昇すれば、その回復を取り逃します。どちらになるかは、売った時点ではわかりません。
なぜ継続が上回りやすかったのか
① 下がった月ほど多くの口数を買えた
毎月同じ金額を積み立てると、価格が安い月ほど多く買えます。1万円で価格1万円なら1口、価格5,000円なら2口です。下落中の買付は気分のよいものではありませんが、後から価格が戻ったとき、その口数が効きます。
② 回復の始まりは、後からしかわからない
相場の底は、底を通過した後にしか確定しません。「落ち着いてから戻る」と考えても、ニュースが明るくなる前に価格が動き始めることがあります。今回の期間では、半年待つあいだの上昇を取り逃したケースが多くありました。
③ 売却は「下落への対応」と「戻る時期」の2回を当てる必要がある
売る判断だけで終わりではありません。再び買う判断も必要です。1回目がうまくいっても、2回目を先延ばしにすれば結果は変わります。これは知識の問題だけでなく、人の不安が判断に入りやすい難しさです。
それでも継続が常に正解だったわけではない
継続が半年休止を下回ったファンドは8.8%、売却後再開を下回ったファンドは16.3%ありました。下落後も長く低迷した場合や、待機期間中にさらに価格が下がった場合は、休止・売却が上回ることがあります。
つまり今回わかったのは、「継続が必ず勝つ」ではなく、「2020年以降のこの条件では、継続が上回るケースが多かった」という事実です。将来の下落が同じ形で回復するとは限りません。
割合どうしの差を表す単位です。40%と32%の差は8%ではなく「8ポイント」と書きます。今回の8.4ポイントも、損益率どうしの差を示しています。
この結果を自分の積立にどう使うか
重要なのは「平均的にはどうだったか」だけでなく、自分が選んでいるファンドと、自分が始めた時期で確認することです。FundLabの積立シミュレーションでは、ファンド名・毎月の金額・開始月を選び、元本割れしていた月数や最大含み損まで確認できます。
- 現在積み立てているファンドを選ぶ
- 自分の開始月、または過去の下落を含む開始月を指定する
- 最終損益だけでなく、元本割れ月数と最大含み損を見る
「この程度の下落でも続けられそうか」を事前に知ることは、売買の答えをもらうことではありません。自分の資金計画を点検する材料を増やすことです。
自分のファンドでは、下落を含む積立がどう進んだか
毎月の金額と開始月を変え、元本割れの深さと長さまで確認してみてください。1つの期間だけでなく、開始月をずらして比べるのがポイントです。
検証の限界
- 対象期間は2020年1月〜2025年9月で、主に2020年の急落後の回復を含みます。別の時代では結果が変わり得ます。
- 対象は期間中の月次データがそろったファンドです。途中で償還・統合された商品を含まないため、残存ファンドに偏る可能性があります。
- 待機中の現金利息、税金、売買時の手数料は考慮していません。
- 特定のファンドの購入・継続・売却を勧める分析ではありません。
本記事の位置づけ
本記事は投資信託の過去データを用いた一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入・継続・売却を推奨するものではありません。集計・シミュレーション・ランキングは将来の運用成果を予測・保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。