新NISAなどの積立を始めたいが、「今は高いのでは」と迷っている人。すでに積み立てていて、自分の開始時期が悪かったのではと不安な人。開始月の影響を、感覚ではなく数字で知りたい人を想定しています。
まず結論:開始月の差は大きい。ただし長い方が差は小さかった
3年間積立では、同じファンドでも最も良かった開始月と最も悪かった開始月の差が、中央値で27.5ポイントありました。5年間では17.1ポイントでした。
今回の期間では、積立期間が長い方が結果の中央値は高く、開始月による差も小さくなりました。しかし5年間でも元本割れはなくならず、開始月の影響も残っています。「長く積み立てれば必ず増える」という結果ではありません。
どう比べたのか:開始月を1ヶ月ずつ動かす
2020年1月から2025年9月まで月次データが連続している162本を対象にしました。毎月1万円を、その月の月次基準価額で購入する設定です。
| 積立期間 | 開始月の候補 | 1ファンドあたり | 合計 |
|---|---|---|---|
| 3年間 | 2020年1月〜2022年10月 | 34通り | 5,508通り |
| 5年間 | 2020年1月〜2020年10月 | 10通り | 1,620通り |
たとえば3年間なら、「2020年1月に開始して2022年12月まで」と「2020年2月に開始して2023年1月まで」を別々に計算します。これを1ヶ月ずつずらしました。特定の成功例だけを選ばず、利用できる開始月をすべて含めるためです。
開始月をずらすと、結果は1本の線ではなく「幅」になった
3年間の5,508通りでは、損益率の中央値は13.5%。結果の中央80%は-4.5%〜33.3%に広がりました。5年間の1,620通りでは中央値25.4%、中央80%は-4.2%〜55.5%です。
ここで大事なのは、中央値だけを見ることではありません。同じ「毎月1万円」でも、ファンドと開始月が変わると結果には大きな幅がありました。積立は一定額を買い続ける方法ですが、値動きの影響が消える方法ではないのです。
なぜ開始月だけで差がつくのか
① 最初に買った価格が違う
開始直後に下がれば、最初の購入分は含み損になります。ただし、その後は安い価格で多くの口数を買えます。反対に、開始直後から上がれば最初の購入分は増えますが、後の月は少ない口数しか買えません。
② 終了直前の値動きが、積み上がった資産全体に効く
積立後半には、それまで買ってきた口数がたまっています。終了直前の下落は、最後の1万円だけでなく、積み上がった全体の評価額を動かします。そのため同じ3年間でも、終わる月が違うと結果が変わります。
③ 平均リターンが同じでも「順番」が違う
上昇と下落の平均が同じでも、上がってから下がるのか、下がってから上がるのかで積立結果は変わります。毎月新しく口数を買うため、値動きの順番が購入量に影響するからです。
では、安くなるまで待った方がよいのか
この分析だけでは、そうは言えません。過去を振り返れば「この月から始めればよかった」と特定できます。しかし、開始前の時点でその月が最良か最悪かを知る方法はありません。
待っている間に下がれば、待った判断がよく見えます。上がれば、その上昇には参加できません。つまり待つことも、「今より有利な開始月が後に来る」という予想を含みます。
一方で、生活費まで投資へ回す必要はありません。開始時期より先に、家計から無理なく出せる金額か、下落しても続けられるかを確認する方が重要です。この記事が示すのは「今すぐ始めるべき」という答えではなく、開始月の影響を1つの結果ではなく幅で見る必要があるということです。
自分の開始月をFundLabで確かめる
全体集計を読んだ後は、自分の条件に置き換えてみてください。FundLabの積立シミュレーションでは、実際のファンド名、毎月の金額、開始月を指定できます。
- 気になるファンドを選び、現在考えている毎月額で計算する
- 開始月を6ヶ月・1年ずらして、結果の幅を見る
- 最終損益だけでなく、元本割れ月数と最大含み損を見る
- ローリングリターンで、保有期間別の最良・中央値・最悪も確認する
「もしこの月から始めていたら」を実際のファンドで確認
開始月を変えて2回、3回と試すと、1つの結果だけでは見えなかった幅がわかります。まずは気になるファンドを選んでみてください。
検証の限界
- 対象は2020年1月〜2025年9月。5年間の開始月は10通りに限られます。
- 162本を同じ重みで集計しており、資産クラスや値動きの性格の違いを調整していません。
- 期間中の月次データがそろうファンドが対象で、途中償還などを含まない偏りがあります。
- 税金、売買手数料、分配金の受取方法などは考慮していません。
本記事の位置づけ
本記事は投資信託の過去データを用いた一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入・継続・売却を推奨するものではありません。集計・シミュレーション・ランキングは将来の運用成果を予測・保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。