積立投資は始める月でどれだけ変わった?
162本・7,128通りで検証

「積立を始めたい。でも、今は高値かもしれない」。相場が上がった後ほど、最初の一歩は重くなります。来月まで待つべきか、下がってから始めるべきか。けれど、その答えは未来の値動きを知らなければ決められません。そこで、予想をいったん脇に置き、実際に開始月が違うと結果がどれほど変わったのかを調べました。投資信託162本、毎月1万円、3年と5年。開始月を1ヶ月ずつ動かし、合計7,128通りを比較します。

この記事を想定している読者

新NISAなどの積立を始めたいが、「今は高いのでは」と迷っている人。すでに積み立てていて、自分の開始時期が悪かったのではと不安な人。開始月の影響を、感覚ではなく数字で知りたい人を想定しています。

まず結論:開始月の差は大きい。ただし長い方が差は小さかった

3年間積立では、同じファンドでも最も良かった開始月と最も悪かった開始月の差が、中央値で27.5ポイントありました。5年間では17.1ポイントでした。

3年間・5,508通り中央値 +13.5%元本割れは18.3%
5年間・1,620通り中央値 +25.4%元本割れは13.5%
同一ファンドの開始月差27.5→17.1pt3年から5年で中央値が縮小

今回の期間では、積立期間が長い方が結果の中央値は高く、開始月による差も小さくなりました。しかし5年間でも元本割れはなくならず、開始月の影響も残っています。「長く積み立てれば必ず増える」という結果ではありません。

どう比べたのか:開始月を1ヶ月ずつ動かす

2020年1月から2025年9月まで月次データが連続している162本を対象にしました。毎月1万円を、その月の月次基準価額で購入する設定です。

積立期間開始月の候補1ファンドあたり合計
3年間2020年1月〜2022年10月34通り5,508通り
5年間2020年1月〜2020年10月10通り1,620通り

たとえば3年間なら、「2020年1月に開始して2022年12月まで」と「2020年2月に開始して2023年1月まで」を別々に計算します。これを1ヶ月ずつずらしました。特定の成功例だけを選ばず、利用できる開始月をすべて含めるためです。

注意:5年間の開始月は2020年1〜10月の10通りです。3年間の34通りより少なく、5年間という一般論を証明するには観測期間が限られています。この記事では、あくまで2020年以降の実績として読みます。

開始月をずらすと、結果は1本の線ではなく「幅」になった

162本について積立開始月をずらした3年と5年の損益率中央値と10から90パーセント範囲
点は全結果の中央値、太線は下位10%〜上位10%を除いた範囲。最大・最小ではありません。過去の実績であり、将来の範囲を予測するものではありません。

3年間の5,508通りでは、損益率の中央値は13.5%。結果の中央80%は-4.5%〜33.3%に広がりました。5年間の1,620通りでは中央値25.4%、中央80%は-4.2%〜55.5%です。

ここで大事なのは、中央値だけを見ることではありません。同じ「毎月1万円」でも、ファンドと開始月が変わると結果には大きな幅がありました。積立は一定額を買い続ける方法ですが、値動きの影響が消える方法ではないのです。

なぜ開始月だけで差がつくのか

① 最初に買った価格が違う

開始直後に下がれば、最初の購入分は含み損になります。ただし、その後は安い価格で多くの口数を買えます。反対に、開始直後から上がれば最初の購入分は増えますが、後の月は少ない口数しか買えません。

② 終了直前の値動きが、積み上がった資産全体に効く

積立後半には、それまで買ってきた口数がたまっています。終了直前の下落は、最後の1万円だけでなく、積み上がった全体の評価額を動かします。そのため同じ3年間でも、終わる月が違うと結果が変わります。

③ 平均リターンが同じでも「順番」が違う

上昇と下落の平均が同じでも、上がってから下がるのか、下がってから上がるのかで積立結果は変わります。毎月新しく口数を買うため、値動きの順番が購入量に影響するからです。

では、安くなるまで待った方がよいのか

この分析だけでは、そうは言えません。過去を振り返れば「この月から始めればよかった」と特定できます。しかし、開始前の時点でその月が最良か最悪かを知る方法はありません。

待っている間に下がれば、待った判断がよく見えます。上がれば、その上昇には参加できません。つまり待つことも、「今より有利な開始月が後に来る」という予想を含みます。

一方で、生活費まで投資へ回す必要はありません。開始時期より先に、家計から無理なく出せる金額か、下落しても続けられるかを確認する方が重要です。この記事が示すのは「今すぐ始めるべき」という答えではなく、開始月の影響を1つの結果ではなく幅で見る必要があるということです。

自分の開始月をFundLabで確かめる

全体集計を読んだ後は、自分の条件に置き換えてみてください。FundLabの積立シミュレーションでは、実際のファンド名、毎月の金額、開始月を指定できます。

  1. 気になるファンドを選び、現在考えている毎月額で計算する
  2. 開始月を6ヶ月・1年ずらして、結果の幅を見る
  3. 最終損益だけでなく、元本割れ月数と最大含み損を見る
  4. ローリングリターンで、保有期間別の最良・中央値・最悪も確認する

「もしこの月から始めていたら」を実際のファンドで確認

開始月を変えて2回、3回と試すと、1つの結果だけでは見えなかった幅がわかります。まずは気になるファンドを選んでみてください。

検証の限界

  • 対象は2020年1月〜2025年9月。5年間の開始月は10通りに限られます。
  • 162本を同じ重みで集計しており、資産クラスや値動きの性格の違いを調整していません。
  • 期間中の月次データがそろうファンドが対象で、途中償還などを含まない偏りがあります。
  • 税金、売買手数料、分配金の受取方法などは考慮していません。

本記事の位置づけ

本記事は投資信託の過去データを用いた一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入・継続・売却を推奨するものではありません。集計・シミュレーション・ランキングは将来の運用成果を予測・保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

よくある質問

Q. 積立投資を始めるのに最適な月はわかりますか?
将来の最適な開始月はわかりません。過去を振り返れば最良・最悪の月を特定できますが、開始前に同じ判断はできません。本記事は予測ではなく、開始月によって過去の結果にどの程度の幅があったかを示しています。
Q. 5年間積み立てれば元本割れしないのですか?
いいえ。今回の162本・1,620通りでは、5年間でも13.5%が最終時点で元本割れでした。対象期間とファンドが変われば割合も変わるため、将来の元本割れ確率を示す数字ではありません。
Q. 27.5ポイントの差とは何ですか?
同じファンドについて、3年間積立の最も良かった開始月と最も悪かった開始月の損益率の差を計算し、162本の中央値を取った数字です。割合どうしの差なので「%」ではなく「ポイント」と表します。
Q. 自分が積み立てているファンドの開始月も比べられますか?
FundLabの積立シミュレーションで、ファンド名・毎月額・開始月を指定して無料で確認できます。開始月を何度かずらし、最終損益だけでなく元本割れ月数や最大含み損も比較できます。
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