まず結論:増えた金額より「配分が何に変わったか」が重要
100万円を国内債券70%・FANG+30%へ一括投資し、その後は積み立てなかった場合、2020年4月〜2026年1月の実績では、リバランスなしの最終評価額が高くなりました。しかし、それは70対30を保った結果ではありません。値上がりしたFANG+が、終了時には約75%まで増えていました。
- リバランスなし:好調だったFANG+を売らないため、過去の最終金額は大きくなった。その代わり、当初より株式への偏りが強くなった。
- 年1回(リバランスあり):増えたFANG+の一部を国内債券へ戻すため、最終金額は低くなった。一方、値動きと最大下落は小さくなった。
- この結果が教えるのは優劣ではなく、リバランスは「決めたリスク配分を守る仕組み」だということ。
リバランスとは?崩れた70対30を元へ戻すこと
最初に100万円を国内債券70万円、FANG+30万円へ分けても、その比率はずっと同じではありません。FANG+だけが大きく値上がりすれば、資産全体に占めるFANG+の割合が増えます。
リバランスなしでは、その変化をそのまま受け入れます。年1回(リバランスあり)では、年に一度、増えた側を一部売って減った側を買い、70対30へ戻します。スポーツにたとえるなら、攻撃役が増えすぎたチームを、決めていた守備との人数バランスへ戻す作業です。
比較条件:金額の追加をせず、リバランスだけを変える
リバランス以外の影響を混ぜないため、運用開始時に100万円を一括投資し、その後の積立は0円で統一しました。2本の共通データがそろう最長期間を使っています。
| 資産配分 | eMAXIS Slim 国内債券インデックス 70% iFreeNEXT FANG+インデックス 30% |
| 初期投資・積立 | 100万円を一括投資・その後の積立0円 |
| バックテスト期間 | 2020年4月〜2026年1月 |
| 比較する設定 | リバランスなし/年1回(リバランスあり) |
| モンテカルロ | 5年間・1,000回。各方式に同じ月次リターンの抽選順を使用 |
| 物価対応 | オフ |
| 計算日 | 2026年9月4日 |
バックテスト:なしは240万円、年1回(リバランスあり)は173万円
100万円を一括投資した結果、この期間はFANG+の値上がりが大きく、売らずに保有した「リバランスなし」のほうが高いリターンになりました。一方、年1回(リバランスあり)はFANG+の増えすぎを抑えたため、値動きの荒さと最大下落率が小さくなっています。
| 指標 | リバランスなし | 年1回(リバランスあり) |
|---|---|---|
| 最終評価額 | 2,403,935円 | 1,730,370円 |
| 累積リターン | 140.39% | 73.04% |
| CAGR(年平均成長率) | 16.48% | 10.01% |
| ボラティリティ(値動き) | 14.74% | 9.47% |
| 最大下落率 | 19.71% | 15.21% |
| シャープレシオ | 1.11 | 1.05 |
最終評価額の差は約67万円です。ただし「なし」は、FANG+への投資比率を30%に保った成績ではありません。途中からはFANG+の値動きがポートフォリオ全体を大きく左右する状態へ変わっていました。
終了時配分:30%だったFANG+が75%まで増えた
| 資産 | 開始時 | リバランスなし・終了時 | 年1回(リバランスあり)・終了時 |
|---|---|---|---|
| 国内債券 | 70.00% | 24.62% | 62.14% |
| FANG+ | 30.00% | 75.38% | 37.86% |
リバランスなしでは、国内債券中心だったはずの配分が、終了時にはFANG+中心へ入れ替わっています。年1回(リバランスあり)でも最後のリバランス後の値動きで30%から37.86%へ増えましたが、リバランスなしより当初の配分に近く保たれました。
つまり「なし」を選ぶことは、何もしない中立な選択ではありません。値上がりした資産へ自然に集中していく方針を選ぶことでもあります。
なぜリバランスすると今回のリターンが下がったのか
理由は単純です。年1回(リバランスあり)の設定では、値上がりして30%を超えたFANG+を売り、国内債券を買い足します。その後もFANG+の上昇が続いたため、売らずに持ち続けた「リバランスなし」が有利になりました。
しかし、値上がりした後に大きく下がる期間なら、結果は逆方向へ動くことがあります。高くなった資産の一部を減らしておけば、その資産が下がったときの影響も小さくなるからです。今回の最大下落率が19.71%から15.21%へ縮んだのは、その違いが表れた例です。
モンテカルロ:5年間を1,000通りで比べる
次に、同じく100万円を一括投資し、その後は積み立てない条件で、過去69か月の月次リターンから毎月の値動きをランダムに選び、5年間を1,000回試算しました。2つの設定には同じ抽選順を使っているため、表の差はリバランス設定から生じます。
| 5年後の評価額 | リバランスなし | 年1回(リバランスあり) |
|---|---|---|
| 下位5% | 1,144,926円 | 1,105,399円 |
| 中央値 | 2,039,333円 | 1,590,874円 |
| 上位5% | 4,500,696円 | 2,397,959円 |
100万円を一括投資した5年後の中央値は、「リバランスなし」が約204万円、「年1回(リバランスあり)」が約159万円となりました。上位側ほど差が広がっています。FANG+が大きく伸びる並びでは、売らずに比率が増える「リバランスなし」がその上昇を強く受けるためです。
ただし、この試算の材料は2020年4月〜2026年1月という限られた期間です。この期間はFANG+が好調だったため、ランダムに並べ替えても、その高いリターンの特徴は残ります。数字をそのまま将来へ延ばすのではなく、配分がどれほど変わり得るかを見る実験として読んでください。
モンテカルロでも、なしはFANG+約69%へ
1,000回の終了時配分を平均すると、「リバランスなし」はFANG+が69.1%まで増えました。結果の中央80%が入る範囲は53.7〜83.5%です。「年1回(リバランスあり)」は平均37.8%、範囲30.5〜46.1%でした。
| FANG+の終了時比率 | 平均 | 10〜90%の範囲 |
|---|---|---|
| リバランスなし | 69.1% | 53.7〜83.5% |
| 年1回(リバランスあり) | 37.8% | 30.5〜46.1% |
将来の金額には大きな幅がありますが、リバランスが配分の広がりを抑える役割は、この試算でも確認できます。年1回(リバランスあり)の結果が30%ちょうどではないのは、最後のリバランス後にも値動きがあるためです。
「あり・なし」は何を基準に選べばよいか
判断の出発点は、リターンの高低ではなく、配分が崩れたときにどこまで許容するかです。
- なし:値上がりした資産の比率が増えることを受け入れる。売買は少ないが、最初に決めたリスク水準から離れやすい。
- 毎月・3か月ごと:配分を目標へ近づけやすい。実際の運用では売買回数が増えやすい。
- 半年ごと・年1回:一定のずれを許容しながら、定期的に元へ戻す。
FundLabでは、なし・毎月・3か月ごと・半年ごと・年1回の5種類を選べます。まず「なし」と「年1回」を比べ、差が大きければ頻度を細かく変えてみると、複雑になりすぎません。
同じ70対30をFundLabで試す
下のボタンは、今回の2本・70対30・100万円を一括投資・その後の積立0円を入力した状態で開きます。バックテストではリバランスを「なし」と「年1回(リバランスあり)」に変えて2回計算してください。モンテカルロでは期間を5年にして、同じように2回試すと比較できます。モンテカルロの結果は実行ごとに少し変わります。
リバランスで金額・下落・配分がどう変わるか確認
最終評価額だけでなく、最大下落率と終了時の資産配分も並べて見てください。
この比較の限界
今回の結果は、2本の共通データがそろう2020年4月〜2026年1月に限られます。FANG+が好調だった期間を含むため、リバランスなしに有利な結果が出やすい点に注意が必要です。また、月次データを使うため、月の途中に起きた下落や回復をすべて表すものではありません。
モンテカルロも、同じ69か月の値動きを材料にした試算です。将来の相場環境、税金、売買コストを織り込んでいません。特定の金融商品や70対30という配分を勧めるものではなく、将来の運用成果を保証しません。